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'07/02/24 本紙掲載 
ミナミさんちの縁側
 おじいちゃん 今年の年賀状は新しい住所がたくさんあって大変だったよ。
 おばあちゃん これまでも市町村合併はありましたが、今回はよっぽど規模が大きかったんですね。
 おじいちゃん みなさんの生活へはどんな影響があったのか、聞いてみることにしよう。
■ 市町村合併
悪かった−周辺部へしわ寄せ心配
 縁側に寄せられた意見のうち、合併が「悪かった」とする理由はさまざまな点に及んだ。
 まずは行政サービスの低下。薩摩川内市里町の溝上辿さん(79)は「旧村時代に比べ職員の対応に不満がある。市の政策も旧町村にまで行き届いていない」と批判的だ。市と合併した旧町村の中には、政策が旧市中心で、負担増を感じている人は多いようだ。また、行事がなくなったり、規模縮小されたことに対する不満もあった。
 旧市来町のいちき串木野市湊町、有川澄夫さん(70)は「合併後、税金や保険料が上がったほか、公民館が有料となりコピー使用料も値上がりした。1市1町では吸収合併の様相になることは十分予測できたが、人口の多い旧串木野市にメリットがあるだけとみるのは1人だけだろうか」と疑問を持っている。
 行政、議会に対する不満もある。曽於市末吉町本町の和佐兼雄さん(82)は「首長、議員が身近な存在ではなくなった。一方で報酬は上がったと聞いており、財政健全化に反している。一市民として不安がいっぱい」と嘆く。
 十島村の公務員藤井浩幸さん(33)は「得をしたのは何も売りがない財政難の自治体と国だけ。小さくても頑張っていた自治体は時代の流れにのまれた感じ。一過性のブームが過ぎた後、後悔するのではないか」。鹿児島市紫原7丁目の古田久男さん(70)は「無駄を少なくすることは歓迎だが、都市中心の政策になっており、地方のいっそうの過疎化を危ぐする。地方がさびれるようなら合併は勘違い」と手厳しい。
 住所表示が変更になったことに対する不満も根強かった。
 肝付町前田、安藤一平さん(75)も残念に思っている1人。「いとも簡単に旧町名が抹殺されて情けない。高山、内之浦といった歴史や地形に裏打ちされた由緒ある地名が消えてしまったのは正直あぜんとした。旧町名にこだわった考え方はできなかったのか」と指摘する。大阪市の中納兼信さん(58)が「故郷が合併して昔の町名が消えてしまい、愛着がなくなった」と嘆くなど県外在住の出身者からも同様の意見が寄せられた。
 旧入来町出身で姶良町東餅田に住む増田ミクさん(80)も「情緒豊かな歴史を紡いできた町の名が消えていく寂しさ、これからの若い人々に忘れ去られていくという悲しさがある」。「何も変わらないのに住所がむやみやたらに長くなり面倒」(薩摩川内市の33歳女性)、「道路標識が分かりにくくなった。書き換えに多くの税金を使って逆に不便になっている」(日置市の54歳会社員男性)との意見もあった。
良かった−行政頼み脱却への一歩
 「良かった」とする意見には、過疎や少子高齢化、財政難などに対応する観点から行政のスリム化を良しとする理由が多かった。
 鹿児島市下福元町の会社員宮下達也さん(33)は同市の場合について、旧松元町や旧喜入町から旧鹿児島市の会社に勤めに出る人が多いことから「実情に合った行政区画に近づいたと思う」と評価する。旧宮之城町出身で大学院生の天瀬毅さん(29)=鹿児島市=は「これまで知らなかった隣の町の史跡や施設を知り親近感を持つことができた。行政的にも連帯感を持ってお互い協力しながら町を発展させることができる」と前向きにとらえる。
 薩摩川内市高江町の徳田勝章さん(69)も市内全地区を構成員にした地区コミュニティー協議会が発足したことを挙げ、「自分の地区でもボランティア作業による手づくりの事業などに取り組み、地区民のまちづくりが着実に成果を挙げている」と紹介する。
 「住民にできることはやってもらうスタイルに変更し、肥大化した行政組織を縮小しなければ維持できなくなろうとしている。いかに住民サービスを下げずに自治体を経営していくか、大きな課題に立ち向かう基盤が整った。実際の合併の成否は今後10年ぐらい先を見すえて検証する必要がある」(日置市の44歳公務員男性)と行政側からも意見があった。
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