愛情伝える「母の味」
無病息災と子孫繁栄の願いが込められているといわれるおせち料理。手作り支持派には「家族の結びつきや愛情を感じるから」という意見が多かった。 鹿児島市日之出町の無職渡辺千明さん(66)もその1人。「今ほど食材が豊かな時代ではなかったが、子どもながらにも丹精こめてつくる母の姿を見ながら新年を迎える喜びと同時に、家族に対する愛情を感じ取っていた」と「おふくろの味」に親しみを感じているようだ。鹿児島市の大学生、天瀬毅さん(30)も「母親の作った煮しめは、祖母から受け継がれたもので格別においしかった」と懐かしむ。
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| おせち料理を選ぶ家族連れ=鹿児島市の山形屋 |
今年多発した食品偽装問題を意識する声も。大口市の主婦中村亜美さん(33)は毎年、お雑煮を含め5品ほどつくる。普段食べられないような目新しい料理に挑戦するという。「有名な会社に裏切られるかもしれないと考えるよりも、この機会に手作りを始めてみては」と提案した。
オリジナル料理を楽しんでいる家庭も多い。
垂水市海潟の主婦小妻凉子さん(53)は、家族の大好きな肉料理、自分の大好物のエビなど彩りよく重箱に詰め、おとそ代わりにシャンパンを準備する。「豪華ではなくても、朝作りたての温かい料理で、家族そろって元気で新年を祝うことがわが家の伝統行事」という。兵庫県の会社員森和人さん(52)も「大きな鍋にカレー、おでんなど自分たちの好きな物を事前に作り、正月三が日をのんびり過ごす」。
おせち料理を通して、家族のきずなをあらためて感じる心温まるエピソードも寄せられた。
鹿児島市宇宿3丁目の野元耕子さん(66)は「42年前、スーパー、仕出屋さんにおせち料理が並んでいる時代ではなかったころ、義母から『これでおせち料理を作りなさい』と1万円札を手渡された。実家の母が作っていたおせち料理を思い出して3日間かけて作った感激は忘れられない」。
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購入品と手作り併用
一方、店におせち料理が充実している現代、うまく併用している家庭もあるようだ。 奄美市名瀬の後藤美智子さん(60)は、「購入したおせちを重箱に彩りよく詰め、キンカンや大根の甘酢漬けは手作りで添える」とスーパーで購入するおせちを上手に活用している。
今回、募集した意見で「購入」は少なかったが、鹿児島市の山形屋では、彩り豊かな数多くのおせち料理のサンプルが並び、大勢の人が足をとめて見入り、注文も相次いでいた。食品統括部おせち担当の黒江さゆりさん(37)によると、少人数用のおせち料理の売れ行きがよいという。「子どもが独立し、お正月に帰ってこれない。1人、夫婦だけなら購入のほうが良いなどの理由が多い」。家族の形態に合わせておせち料理の形も変わっていくようだ。。












