イノベーション急ぐ首相
安倍晋三内閣の新戦略を検討する「イノベーション25戦略会議」が動き出した。2025年に向けてのイノベーション戦略を検討、来年2月に、25年の国民生活がどう変わるかを示した報告書をまとめ、安倍首相にイノベーション国家戦略を提言する。トロンの開発で知られる坂村健東京大学大学院教授、金沢一郎日本学術会議会長らがメンバーとして参加している。
会議に提出された資料を見ると、米国は産業界、学界などのリーダー約400人で「国家イノベーション戦略報告書」をまとめ、04年12月に大統領に提出している。欧米主要国では議論を終え実行段階の国が多い。日本が郵政民営化で論争しているとき、欧米ではイノベーション戦略を論議していたことになる。
イノベーションとは単なる技術革新の意味ではない。急速に進むネット革命などの技術革新が産業、社会などを大きく変革させる意味を含んでいる。各国とも新しい発想で国家戦略として取り組んでいるのはこのためだ。
戦略会議の第1回会合で安倍首相は「将来のイノベーション社会のための施策をあらゆる角度から論議してほしい」と発言している。欧米に周回遅れで始まった戦略会議が最新の技術情勢を踏まえ、遅れを逆にプラスにかえ将来の指針を示さなければならない。
これと対照的にIT国家戦略を検討する「IT戦略本部」は安倍内閣になってから低調だ。パソコンを駆使する初の首相の安倍首相が、いまはITよりイノベーション戦略だ。確かにブロードバンド世帯は普及し料金も世界で最も安い。しかし、インターネットが使えない中高年・主婦が多く、地域の情報格差も開いているのも事実だ。
2025年への国家戦略も重要だが、急速に変化するネット社会に一部の国民でも取り残されないように、首相も汗をかく必要がある。ネット革命が進むこの4、5年、もし首相が「各省庁ががんばる段階になった」と指揮をゆるめると、そのツケがすぐ出てくるだろう。




















