南日本新聞のウェブサイト373news.comです

メニューをとばして本文へ移動します

漫画NAVI

(7月25日)
「ドリフターズ」 平野 耕太作
島津豊久が異世界へ
 吸血鬼と英国騎士団の戦いを描いた人気作「ヘルシング」が終了して2年。若者に絶大な人気を誇る「ヒラコー」こと平野耕太が、戦国時代の武将、島津豊久を主人公とした新たな世界を作り上げた。
 関ケ原の戦いで敗走する島津義弘を逃がすため、豊久は井伊直政に立ち向かう。重傷を負ってたどり着いたのは妖精「エルフ」がいる世界。そこには本能寺で死んだはずの織田信長と、平安末期の武将である那須与一の姿が。彼らは「ドリフターズ(漂流者)」と呼ばれていた。
 歴史上の人物が異世界に集うという設定。しかし著者の描くアクの強いキャラクターや、伏線をちりばめたストーリーが面白さを増幅させる。漂流者は3人のほか、ハンニバルや菅野直らも登場。なぜ彼らがここに集まったのか。今後の展開が楽しみだ。少年画報社「ヤングキングアワーズ」連載、1巻発売中。
(7月11日)
「百姓貴族」 荒川 弘作
人気作家育てた「農業」
 著者は錬金術を扱う兄弟の冒険劇を描いた人気漫画「鋼の錬金術師」の作者。漫画家になる前は、北海道の実家で農業に従事していた。その経験をもとに「農家の常識は社会の非常識」という農業の裏側をコミカルに描いている。
 実家は酪農をメーンにする大規模専業農家。休日らしい休日は一切なく、牛、馬の世話から野菜の収穫まで親の手伝いに奔走した。「子どものころから農作業機械を操る」「畑に鮭が打ち上がる」など驚きの事実を披露。農業高校在学時のエピソードも交えている。
 等価交換の原則や生命の尊さをテーマにした「鋼の錬金術師」は、自分たちが生きていくため、家畜の生き死にを目の当たりにした経験から生まれたのだろう。農業で培った強さは、妊娠中も休載しなかったという猛筆ぶりにも表れた。新書館「ウィングス」連載、単行本は1巻発売中。
(6月27日)
「乙嫁語り」 森 薫作
圧倒的画力 中央アジア描く
 どんなにストーリーやキャラクターの魅力が優れていても、「絵」の力で評価が下がる漫画は多い。本作は中央アジアの民族の暮らしを、圧倒的な画力と手を抜かない描き込みで生き生きと表現した。
 19世紀のカスピ海周辺に暮らす民族のエイホン家。跡継ぎ候補である12歳のカルルクは、別の部族から嫁いできた8歳年上のアミルと結婚する。アミルは容姿端麗で裁縫や狩りもうまい非のうちどころがない女性。形式的な契りで始まった2人の間には、部族間抗争などを通して次第に本物の愛が芽生え始める。
 模様一つ一つ丁寧に描かれた民族衣装や、躍動感あふれる馬の肢体など、ページをめくるたび洗練された絵柄に驚く。セリフや時代背景の解説が少ないのに、すんなり読み込めるのはその技術がなせる技か。エンターブレイン「fellows!」連載、2巻まで発売中。
(6月13日)
「マンガで分かる心療内科」 ゆうきゆう作 ソウ画
笑って学べる精神医療
 著者は精神科医。もともとは、病院のホームページに掲載されていたウェブ漫画。インターネット上で人気に火が付き、出版社が目を付けて雑誌連載がスタート、5月に単行本化された。
 臨床心理士の療と看護師のあすなが、「うつ」や「睡眠障害」など心の病気を分かりやすく解説する。一般的な医療の解説本と違うのは、ギャグを織り込んだ点。睡眠の途中で起きる不眠症の一種「中途覚醒(かくせい)」を「中途採用の山田さんが超能力に目覚める」と間違うなど、適度に笑いを交ぜ、読者を飽きさせないよう工夫する。
 現役の精神科医らしく医療知識は満載。単行本の巻末で「心の病は実体がなく理解しづらい。面白い漫画で中身を知ってくれる人が増えれば」と執筆の動機を語る。楽しみながら心療内科のいろはを学べる1冊。少年画報社「ヤングキング」連載、単行本は1巻発売中。
(5月30日)
「サンクチュアリ THE幕狼異新」 冲方 丁作 野口 賢画
SF織り込み「新選組」
 ライトノベル作家や、ゲームシナリオライターの小説界への進出がめざましい。江戸時代の暦学者、渋川春海を描いた「天地明察」で今年の本屋大賞を受賞した冲方丁(うぶかた・とう)もその1人。本作では「新選組」を独自にアレンジしている。
 治安維持のため幕府が京都に置いた新選組。隊士はそれぞれ「氷」「風」などを自在に操る超能力を持つ。しかし隊長の近藤勇は池田屋事件で死亡。土方歳三や沖田総司は近藤の遺志を継ぎ、長州藩士ら攘夷(じょうい)派の「鬼」を一掃するためひたすら刀を振り続ける。
 新選組は使い古された題材。だが、SFの要素を織り込んで登場人物を輝かせる「冲方流」のストーリー展開が史実を華やかにしている。野口賢の手の込んだイラストも、混迷する幕末の重みを引き立たせる。集英社「オースーパージャンプ」連載、単行本は1巻発売中。
(5月23日)
「自殺島」 森 恒二作
生きる意味 孤島で問い直す
 ショッキングな題名が、物語の深さをにおわせる。自殺志願者が集められた無法地帯「自殺島」を舞台に、人との触れ合いや島に生息する動植物の美しさを通じ、生きる意味を問い直す。
 20歳の男「セイ」は自殺未遂の末、病院から見知らぬ島へ送られる。周りには同じように死を決意をした人が。国は増加する自殺未遂者にかかる医療・福祉関連の費用削減のため、自殺常習犯を島に閉じこめたのだった。思いがけなく集まった「生きたくない」人たち。複雑な心境の中、明日へ命をつなぐ日々が始まる。
 食べるものもなく、常に死と隣り合わせの世界で、登場人物は逆に生きる意義を感じ始める。2巻からは原始的生活の要素が濃くなり、バッタの食べ方や弓矢の作り方などサバイバル知識を豊富に詰め込んでいる。白泉社「ヤングアニマル」連載、2巻まで発売中。
(5月9日)
あまんちゅ!」 天野こずえ作
女子高生 ダイビングに夢中
 きらきら輝く青い世界には一体何があるのだろう。スキューバダイビングを題材に、海を楽しむ女子高生2人を中心とした日常生活を描いている。
 大木双葉は東京から伊豆に転校してきた引っ込み思案な女子高生。クラスにとけ込めず不安を抱えていた双葉は、後ろの席に座っていた同級生の小日向光から突然話しかけられ、なぜかダイビング部に体験入部することに。海に潜る怖さでくじけそうになりながらも、元気いっぱいな光のペースに引き込まれてダイブの楽しさに目覚めていく。
 見開きを大胆に使い、桜並木や学校のプールなど何気ない景色を立体的に表現している。その中で前向きに毎日を過ごす主人公の姿がほほ笑ましい。心が洗われたようなすっきりした読後感を味わえる。マックガーデンの月刊コミックブレイド連載、単行本は2巻まで発売中。
(4月25日)
パーツのぱ」 藤堂 あきと作
シビアで笑えるPC店
 アニメや漫画の聖地というイメージが定着した東京・秋葉原。しかし無数の家電店やパソコン店が並ぶ「電脳街」のたたずまいは変わらない。作品は「アキバ」の小さなパソコン部品店を舞台に、店員たちの奮闘をコメディー風に描く。
 入輝(いりてる)は、パソコン部品店「こんぱそ」のアルバイト。見た目は中学生だが勝ち気な女性店員、本楽(もとら)や、パソコンにうとい新米の天戸(あまど)らと働く。新商品の値引き競争や問屋との仕入れ交渉、大手による吸収合併などさまざまな問題とぶつかりながら、チームワークを武器にライバル店と戦っていく。
 明るい絵柄だが、商売のシビアな駆け引きが読み手をわくわくさせる。登場人物名は「インテル」「AMD」など、パソコン部品メーカーに由来する。
  アスキー・メディアワークス「週刊アスキー」連載、単行本は2巻まで発売中。
(4月19日)
それでも町は廻っている」 石黒 正数作
下町の日常コメディー
 胸をわくわくさせてストーリーを追う作品とは対極にある。ゆるやかな日常の中に突拍子もない展開やちょっとしたズレを織り交ぜ、くすりと笑わせる。
 東京の下町に住む嵐山歩鳥(ほとり)はミステリー好きで好奇心旺盛な女子高生。喫茶店を営む祖母が思いつきで始めたメード喫茶でアルバイトをしている。街でちょっとした事件が起こると思いつくままに突き進み、同級生や近所の人を巻き込んで問題を大きくしていく。
 作者は藤子・F・不二雄に影響を受けており、怒りや驚きの表情を藤子風の絵柄で描くシーンが目立つ。笑いの中に見える下町の温かい人間関係や、突っ込みを受ける度に歩鳥がみせる多彩な表情が魅力的だ。2009年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門推薦作品。
 少年画報社「ヤングキングアワーズ」連載、6巻まで発売中。

(3月20日)
荒川アンダー ザ ブリッジ」 中村光作
豪快な電波系ギャグ満載
 初めて目にする人も「聖☆おにいさん」の作者が描いたといえば、どんな漫画か想像がつくかもしれない。絶えず繰り出される電波系ギャグに、ボディーブローを受けている気分になってくる。
 「人に借りをつくるな」がモットーの御曹司、市ノ宮行は東京の荒川河川敷でニノという女性に命を助けられる。大きな借りを返そうとして、ニノの恋人となるという条件を突きつけられる。カッパ姿の村長や、星のお面をかぶったミュージシャンら河川敷の住人に囲まれ、「リク」というあだ名をつけられて新生活が始まる。
 個性的なキャラはもちろんだが、女性作者らしく心情変化が細やかに描写されている。豪快なギャグの内側に見える優しさに和む場面も多い。個人的には白線を引き続けるおじさん「シロ」が好み。スクウェア・エニックス「ヤングガンガン」連載、単行本は9巻まで発売中。

(3月6日)
「テルマエ・ロマエ」 ヤマザキ マリ作
風呂テーマのコメディー
 イタリアで絵を学んだ著者のタッチは劇画風で、舞台は古代ローマ。ここまでの設定で誰がコメディーと想像できようか。テーマはまさかの「風呂」。あまりのギャップに噴かずにはいられない。
 ルシウスは古代ローマで働く浴場の設計技師。新しいアイデアが浮かばず、苦悩しながら浴場に入るとなぜか、日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこには平たい顔族(日本人)がおいしそうにフルーツ牛乳を…。「ローマより文明が遅れている」(と思っている)国の風呂文化がはるかに進んでいることに驚くルシウス。眠りから目覚めてローマに戻るたびに新しい風呂作りに挑む。
 ルシウスがとにかくまじめに日本の風呂を考察する場面が笑いを誘う。マンガ大賞2010にもノミネートされた注目の一冊。エンターブレイン「月刊コミックビーム」連載、単行本は1巻発売中。

(2月20日)
「となりの怪物くん」 ろびこ作
優等生と不登校児ラブコメ
 冷淡な性格の秀才女子高生が出会ったのは「怪物」とうわさの問題児だった…。「このマンガがすごい2010」女性版で第5位に入った鹿児島市出身の著者が描くラブコメディーだ。
 水谷雫は年収1000万円が夢という勉強一筋の女子高生。担任の先生に頼まれ、暴行事件を起こして不登校を続ける吉田春と出会う。人と接することに臆病(おくびょう)になっていた春は、わざわざ会いに来てくれた雫に好感を抱く。自分の気持ちを包み隠さずに接する春にとまどいながらも、雫は徐々に興味を持ち始める。
 春が雫より頭がよかったり、雫が常に勉学を重視するところなど、王道ラブコメとは違う設定がちりばめられ、新鮮さを感じる。恋愛とともに「友情」とは何かを現代的な視点で掘り下げているのも面白い。講談社「デザート」連載、単行本は4巻まで発売中。

(2月6日)
「ノノノノ」 岡本 倫作
「男」になって五輪目指す
 長野五輪以来メダルから遠ざかっている日本のスキージャンプ。そこにあらわれた期待のホープは女性だった…。ある事情から「男」としてジャンプの道へ進む女子高生を主人公に、お家芸復活を目指す若き飛行隊の成長を描く。
 野々宮ノノはたぐいまれなジャンプセンスを持つ女子高生。女子ジャンプは五輪種目にないため、亡くなった双子の兄「野々宮悠太」の名で競技の世界へ足を踏み入れる。中学で全国優勝したこともある同級生の天津らライバルと戦いながら、才能を開花させていく。
 スポーツ漫画でありながら、憎しみやねたみといった人間のドロドロした部分をにじませ、物語の深みを増幅させる。ギャグも随所におり交ぜ、読者を飽きさせない。バンクーバー五輪前に読んでおきたい一冊だ。集英社「週刊ヤングジャンプ」連載。単行本は9巻まで発売中。

(1月16日)
「天体戦士サンレッド」 くぼた まこと作
応援したくない!? ヒーロー
 主人公は地球を守る正義のヒーロー。しかし、どう読んでも共感できない。頑張れと応援したくなるのは悪の組織のほうだ。通常の特撮物とはかけ離れたギャグ展開に笑いをこらえられない。
 サンレッドは、川崎市高津区に住む正義の味方。野蛮で定職にもつかず、生活のすべてを恋人に任せる堕落っぷり。それでも力は強いのでヴァンプ将軍率いる悪の組織「フロシャイム川崎支部」が繰り出す怪人を一瞬で倒してしまう。弱気な怪人たちはサンレッドに敬語を使い、雨で戦いを中止にしてしまうなど世界征服を遂行するそぶりは感じられない。
 怪人たちがアルバイトをしたり、スーパーの買い物で「あ、6円あります」と気遣ったり、日常生活にとけ込んでいて、身なりとのギャップが面白い。スクウェア・エニックス「ヤングガンガン」連載。コミックスは9巻まで発売中。

(12月19日)
「GIANT KILLING」 綱本将也作、ツジトモ画
大物なぎ倒す痛快劇
 サッカー漫画といえば選手ばかり目立つ作品が多い中、監督を主人公にした。「GIANT KILLING」=「大物食いの大番狂わせ」を好む達海猛(35)が、弱小チームを率いて強豪を次々となぎ倒す、爽快(そうかい)なスポーツ漫画だ。
 2部降格すれすれのプロチーム「ETU」の監督に就任した達海。選手が「いかにおもしろがれるか」を鍵に、試合を組み立てる。自信に乏しいFW、ガラの悪いDFなど個性豊かな選手たちの特長をフルに生かして、格上のチームを倒していく。
 自信満々な戦術で常にサッカーを楽しむ姿は「カッコイイ」の一言。気だるそうだが指示は的確で、勝ち続けておごる敵監督への捨てぜりふもたまらない。ほれる。2010年のアニメ放送(NHK衛星第二)も決定。講談社「モーニング」に連載、単行本は12巻まで発売中。

(12月5日)
「かもめ☆チャンス」 玉井 雪雄作
自転車レースに挑む
 自転車ブームのせいか、週刊少年チャンピオン連載の「弱虫ペダル」など自転車漫画が人気を集め始めている。この作品は、普通のサラリーマンが仕事のために、自転車の山登りレース「ヒルクライム」の道へ進むという話だ。
 更科二郎は幼稚園に通う娘を男手で育てながら信用金庫に勤めるサラリーマン。高級ロードバイクを壊したことがきっかけで、弁償の代わりにサイクルレースへの出走を命じられる。嫌々ながらも自転車店主とその娘の指導のもと、長野県で開く乗鞍(のりくら)高原のレースに挑む。
 序盤は仕事や育児のトラブルを描き、人間くささを漂わす主人公に共感する場面も多い。2巻から本格的に乗鞍への挑戦が始まり、実用的な自転車では及ばないロードレースの爽快(そうかい)感に引き込まれる。小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載。コミックスは4巻まで発売中。

(11月21日)
「も〜れつバンビ」 柏木ハルコ作
闘牛目指し必死に成長
 国内の闘牛を題材にした連載漫画は、おそらく日本初だろう。しかも主人公は牛。東シナ海に浮かぶ島「煌之島 (きらのしま)」を舞台に、ひょんなことから闘牛になってしまった「バンビ」の奮闘を描いている。
 かわいい目が特徴のバンビは肥育牛という自分の運命に疑問を感じ、牧場からの脱走を試みる。しかし、その場面を見ていた勝ち気な少女、宝田日和に見初められ、なぜか闘牛の道へ。バンビは体格が全く違う猛者のぶつかり合いにおびえる。負ければ処分という過酷な状況の中、必死で成長していく過程が面白い。
 「花園メリーゴーランド」をはじめ人間の性に深く入り込んだ著者の従来の作品とは作風が変わったように感じる。徳之島や石垣島など闘牛が盛んな地で取材。舞台の島は徳之島のような雰囲気を感じさせる。講談社「週刊ヤングマガジン」連載、1巻発売中。

(11月7日)
「よつばと!」 あずまきよひこ著
キラキラ輝く女の子の日常
 「いつでも今日が、いちばん楽しい日」。日常のちょっとした変化に胸を躍らせる好奇心いっぱいな5歳の女の子とそれに振り回される大人たちを和やかに描いた心温まるコメディー。
 「とーちゃん」と暮らす小岩井よつばは、元気いっぱいの女の子。自転車に乗ってこけたり、カラスよけを怖がったり、台風にわくわくして外に出たり、初体験のできごとに目を輝かせ、お隣の綾瀬姉妹や、とーちゃんの友達のジャンボらと一緒に騒がしく毎日を駆け抜ける。
 ゾクゾクする展開や、感動するようなエピソードは少ない。しかし、ありふれた普通の光景が、よつばのフィルターを通すと楽しく様変わり。無邪気な行動に「クスッ」ときてしまう。よつばが桜島を見たらどんな反応するのかなぁ? アスキー・メディアワークス「月刊コミック電撃大王」連載、8巻まで発売中。

(10月17日)
「きみといると」 かがみふみを 作
激甘純愛ストーリー
 君のことを考えると、ワクワクが止まらない。だから話したいけど、何て切り出せばいいかわからない。連絡先も知りたいけど…。懐かしい青春時代を思い出す「激甘純愛ストーリー」だ。
 高校生の岩井良明はトイレ探しのため入った喫茶店でアルバイト店員の山河春と出会う。春にひとめぼれした良明は翌日から喫茶店に通い詰める。だが、きっかけが浮かばず名前を聞くのに一苦労。頑張って携帯アドレスを聞いても、今度は文章を練るのに時間がかかり…。ゆっくり時間をかけながら物語は進む。
 妄想がめぐり、なかなか行動ができない良明にじれったさを覚えるのは自分が大人だからか。春のセリフを心の中で暗唱してもだえる良明をみて「青春ってこんなに甘酸っぱかったっけ?」とうらやましく感じてしまう。双葉社「月刊コミックハイ!」連載、1巻発売中。

(10月3日)
「ちはやふる」 末次 由紀 作
競技かるたはスポーツだ!
 瞬時の判断、長時間の試合に耐える体力、札の配置を考える知力…。競技かるたは間違いなくスポーツだ! 努力や友情といった「スポ根」の要素に少女漫画特有の細やかな心理描写が加わり、重層的な面白さを醸し出している。
 小学生の綾瀬千早は、転校生の綿谷新との出会いから、幼なじみの真島太一とともに競技かるたにのめり込む。天性の聴覚を武器に力をつけていく千早。中学は別々になるも、太一と高校で再会し、かるた部を創設。新メンバーも加わり、かるた日本一への道のりが始まる。
 登場人物の息遣いや場の空気、色彩などが細かに描かれ、かるたの息詰まる勝負をうまく表現している。盗作問題で一度は漫画界から追放された著者にとって再起を期すにふさわしい一作になった。講談社「BE・LOVE」連載。コミックスは6巻まで発売中。

(9月19日)
「まりあ†ほりっく」 遠藤 海成 作
絵柄と裏腹な新感覚ギャグ
 「百合」(女性同士の恋愛)や、「女装」など最近の漫画に増えてきた要素を入れた新しいスタイルのギャグ漫画。かわいい絵柄とは裏腹なぶっ飛んだ展開やブラックジョークが笑いを増幅させる。
 主人公の宮前かなこは運命の恋を探すため女子高に編入した2年生。そこに現れた美人生徒の祇堂鞠也(しどう・まりや)に一目ぼれしてしまう。だが、鞠也が「男」という衝撃の事実を知り、そこから激動の日々が始まってしまう。
 ドSで金と権力が大好きという鞠也と彼に仕える超毒舌メードの茉莉花、とにかく不気味な寮長先生などすさまじいキャラばかり。そこを突っ込むはずのかなこの中身はただのエロ親父同然。次第に鼻血キャラとなり、救いようがない。
 メディアファクトリー「月刊コミックアライブ」連載、コミックスは4巻まで発売中。

(9月5日)
「娚(おとこ)の一生」 西 炯子 作
同居から始まる奇妙な関係
 指宿市出身で「STAY」シリーズなどで人気の漫画家、西炯子(けいこ)の新作。30代独身のエリート女子会社員と、50代の大学教授がひょんなことから同居生活を送る。不思議な関係が導く恋愛ストーリー。
 東京の大手電機会社に勤める堂薗めぐみは、角島県鶴水市の祖母の家で田舎暮らしを始める。祖母が亡くなり、一人住まいとなったところに現れたのは祖母の知り合いという大学教授、海江田醇。「家の鍵持ってるから」とだけ言い、半ば無理やりに同居が始まってしまう。
 必要以上のことはせず、単刀直入にものを言う海江田と、対応に困るつぐみのギクシャクした関係が面白くてもどかしい。同じ屋根の下とはいえ、相手は祖母と関係があった20歳近く年上の男。一体どのような感情が芽生えるのか。今後が楽しみだ。
 小学館「月刊flowers」連載、コミックスは1巻発売中。

(8月15日)
「大東京トイボックス」 うめ 作
ゲーム業界の「職人」描く
 天才ゲームクリエーター率いる弱小ゲーム会社にキャリアOLが赴任、2人の奮闘を描いた「東京トイボックス」の続編。納期やライバル会社の圧力などに悩まされつつも、根性と情熱で駆け抜ける「職人魂」あふれる業界漫画だ。
 新人の百田モモがゲーム会社「G3」に入社する場面から始まる。大手を捨て、理想を追い求めて会社を立ち上げた敏腕クリエーターの天川太陽に元バリバリのキャリアOLの月山星乃。性格は正反対でも2人の「最高の作品」を作るための情熱は誰にも負けない。大手会社のライバル・仙水伊鶴らも交え、モモは次第に人間的な成長を遂げていく。
 納期間際に大きなバグ(不具合)が見つかって仕様の変更を余儀なくされるなどゲーム業界の内幕が詳しく描かれているのも面白い。幻冬舎コミックス「コミックバーズ」連載、コミックスは4巻まで発売中。

(8月1日)
「君に届け」 椎名 軽穂 作
応援したくなる主人公
 「超」がつくほど純粋な女の子と明朗快活でかっこいい男の子。まわりの男女も純粋でけなげ。少女漫画らしい作品だが、ベタな恋愛話や演出が少なく、男性でも読みやすい作品に仕上がっている。
 高校生の黒沼爽子(さわこ)は、長い黒髪と不気味な笑顔などから「貞子」といわれ、同級生から距離を置かれていた。だが、本当は霊感などなく、気配り上手。誰とも分け隔てなく接する風早翔太と出会い、徐々にひかれていく。
 引っ込み思案な爽子が、みんなの助けのもと、勇気を出して行動に移す場面はとにかく「がんばれ」と言いたくなる。外見に似合わず、親身になって爽子を応援する矢野あやねや吉田千鶴も魅力的。特にあやねは、爽子の内面を見抜き的確なアドバイスをくれる頼もしい存在だ。
 集英社「別冊マーガレット」に連載、コミックスは8巻まで発売中。

(7月18日)
「宙のまにまに」 柏原 麻実作
天文知識満載ラブコメ
 皆既日食に劣らず、天文ブームの火付け役になりそうな高校の天文部が舞台の学園ラブコメディー。
 主人公の大八木朔(さく)は幼なじみの明野美星(みほし)と高校で再会する。小学生のころ、星が大好きな美星に天体観測に連れ回された悪夢がよみがえった朔だが、天文部に引っ張り込まれ、騒がしい高校生活がスタート。
 美星は部員たちを巻き込んで天体観測のために駆け回る。迷惑がりながらも、朔たちは夜空を見上げる楽しさに目覚めていく。
 学園ラブコメの王道を行く半面、夏合宿の中身が望遠鏡の鏡面研磨会だったりするなど天文の専門的知識が随所にちりばめられ、登場人物を通して天体観測の面白さが伝わる。
 講談社の月刊アフタヌーン連載。コミックは6巻まで発売中。

(7月4日)
「ラストイニング」 作・神尾 龍/画・中原 裕
「青春ごっこ」はいらない
 同じ高校野球が題材でも「タッチ」や「MAJOR」などとは対極にある。天才はいない。恋愛もない。野球留学や父母会にOBの圧力など高校野球のリアルさをとことん追求している。
 弱小野球部の再生を託された監督の鳩ケ谷圭輔は就任あいさつでいきなり「青春ごっこはやめろ」と言い放つ。実力はあっても野球を知らなかったナイン。理論に裏打ちされた指導のもと、徐々に「勝つ」力を身につけていく。
 「奇襲は2度続けてこそ奇襲」など素人には耳新しいセオリーが面白い。それは自身の捕手としての経験から生まれたもの。投手、野手両方の心がわからないと務まらない捕手の重要さががわかる。鳩ケ谷理論を吸収し、リード力をつけていく正捕手・八潮の成長も魅力的だ。
 小学館「ビッグコミックスピリッツ」連載、単行本は21巻まで発売中。

(6月20日)
「ニコイチ」 金田一 蓮十郎作
一児の父?の恋物語
 父子家庭を描く漫画が少なくないが、この作品は風変わりだ。一児の父である須田真琴が、家庭では周囲でも評判の「美人ママ」を演じているのだ。
 真琴は29歳の会社員。大学時代に死別した恋人の子を引き取るが、なつかないため試行錯誤の末、女装して「母」になり、今でも二重生活を続ける。
 「女」の真琴はモテモテだが、「男」での評判はイマイチ。痴漢撃退をきっかけに女同士で仲良くなった会社の同僚女性から、「男」の真琴はひどく嫌われる。本当のことを言わなきゃならないのに、伝えられないジレンマに陥る真琴がいじらしい。
 著者は女性で「ハレグゥ」などのギャグマンガで有名。女性らしく感情の細かい変化が丁寧に書かれている。スクウェアエニックス「ヤングガンガン」連載。単行本は5巻まで発売中。

(6月6日)
「ひまわりっ〜 健一レジェンド」 東村 アキコ作
宮崎色満開のドタバタ劇
 「らき☆すた」「かんなぎ」など地方を舞台としたご当地漫画が注目されるなか、南九州が舞台の人気作といえばこれ。宮崎出身の著者らしく、宮崎市の橘通りなどが登場するなど、地元色満開のドタバタコメディーだ。
 著者の実話を題材に漫画家を目指すアキコの奮闘ぶりを描く。魅力は個性あふれる脇役。父の健一はクリスマスケーキの箱を縦にして自転車のかごに入れ、崩れたケーキを前に「箱に入っとるとに!」とわめく、ずれた感覚の持ち主。アキコが恋心を抱く植木屋・興梠(こおろぎ)健一はド天然だし、勤務先の上司や同僚はコントばっかりするし。鹿児島がらみのネタも多い。副主任がラップで「おれは志布志生まれの串間市育ち♪大黒の従業員は大体友達」と語る場面はローカルすぎて思わずつっこみたくなる。
 講談社「週刊モーニング」に連載、コミックスは10巻まで発売中。
戻る ]
九電20100730
新着情報
南日本新聞サマーキャンペーン
桜島降灰速報メール 373写真館 動画ページ 373TV
九州温泉プレス 南之方 新聞協会 九州創発塾
オススメ情報
373news.comに掲載しているコンテンツの著作権は、南日本新聞社または各情報提供者にあります。2次利用の可否は読者室までお問い合わせください。