実は子供のころ友達が少なかった。バランスのいい子(のつもり)だったのでにぎやかに過ごしていたけど、体育の授業で「好きな子と2人組になって」と先生に言われる度に1人ぼっちになりそうな恐怖を感じて(全く大人は罪なこと言う…)恨んだものだ。
特に同性の女子が苦手だった。手をつないで学校へ、トイレへ行くことができなかった。いきなり『親友』とか『絶交』とか、騒ぎながらベタベタもたれあったり…それができないと『仲が悪い』と思われそうでまた気を使った。男子とはそういう『接触』のない場所から始まるのでむしろ気楽だった。
東京で音楽を志しながら約2年寮で暮らしていた時、関西出身の子が「みりちゃん、髪ブローしてあげるで」とくるくるドライヤーを持って部屋に入ってきた。断るわけにもいかず、じーっとがまんした。彼女の親切心がなぜか居心地悪く、つきあいにくいヤツに映ったことだろう。
デビューしてからもこの性格は相変わらずで、ミュージシャンの友人は数えるほど。ジャズメンがあいさつ代わりに「やあ!」と握手したりハグするのを、「外人ぶってる」なんて斜メに見ていた。
考えが変わったのは数年前から。入院した叔母を見舞った時勇気を出して「また来るね」と手を握った。末期がんで言葉が見つからなくて、どうしようもなく手が伸びたのだった。やせた叔母の手は意外なほどふっくら温かく生命そのもので、泣きそうになった。
2年前からできる限りコンサート後、来てくださったお客さんと握手の機会を作っている。先日障害を持つ女の子が長い列に並んでいた。握手しようとすると私の手に彼女が突然キスをした。私も彼女のぷるんとした手にキスのお返しをした。あわてたのは付き添っていた彼女のお姉さんでしきりに謝ったが、後日別のライブでそのお姉さんが私に話した。「あの後『なんでキスなんかしたの? 辛島さん驚いてたじゃない』と聞いたら妹が『だってキレイだったから』て答えるんですよ…」。こんな自分でもその子の瞳にはキレイに映ったのかと、私はとても励まされた。
先日加治木町でのトーク&ライブにも大勢の方が握手会に並んでくださった。初めて私の声や顔に出会った人たちが、もう親戚のようなほほえみで、加治木まんじゅう以上に町に愛着がわいた。
選挙で握手して回る姿には抵抗を感じても、私は私のやり方でスキンシップを模索中だ。


















