自分のことを話すより他人の話を聞く方が好きだ。秘密主義とかじゃなく、人の話ですぐ胸がいっぱいになって、自分のことまで頭が回らなくなるのだ。暗示にかかりやすい性格のせいか、他人の恋愛話でついつい安上がりに疑似体験している(情けない)。
しかしながら、コイバナ(恋の話)を女同士でする時の楽しさったらありゃしない。ふた月に1度くらい仲良し女友達と『秋の夜長ごはん』『きのこの会』『お月見御膳』…。オンナは食べなきゃ始まらんのですよ、と言いつつ「今日はネタあり」「今回ネタ切れのカラシマだす」などのメールが飛び交い、数人集まってはペチャクチャやっている。
独身、食事好き、という共通点以外は仕事も年齢もバラバラだ。育った環境も違うので共通の友人も少ない、だから話題が新鮮だし広がる。しょっちゅう会わないのもいい。ほどよい忙しさの中にいると、キレイになった相手に嫉妬(しっと)するより即そのテクニックを学ぼうと思うから。
その服ステキ。で、目尻のシミはどうやってとれたの? 情報公開を惜しまない。学生じゃあるまいし、テレビドラマみたいに恋人がカブるなんてあり得ないのだ。友達が幸せな方が自分も幸せになれると素直に信じられる、それがうれしい。
不倫をしている友人が話す。「頭にくるのは夫婦仲悪い割に、彼がきちんとアイロンかけたハンカチ持ってること。それと車のティッシュカバーがお手製だと気づいた時」。「ほほぉ、アイロンハンカチとティッシュカバーに妻の影アリねぇ」とわれわれは鉛筆をナメながら心にメモする。お見合いに失敗した友人の話には「くそ、はげろ!」「ビールッ腹になれ!」と瞬間のろい、あとは想像して爆笑のみそぎをするのだ。でも先日は違う展開だった。
「もし『不治の病』に冒されているとしたらどうする?」。私の問いかけに、「死ぬ時期なんて告げないでほしい」と友人は答えた。「残された時間を教えてほしい。その間にやるべきこと、あいさつすべき人、いろいろ片付けたいから」と言ったのは私1人。「でも考えてみて。もう二度と会えないと思いながら食事なんかできる? わけを知らずに会った人だって悲しいし、知りつつ会うのもつらいじゃない」。私は何も言えなくなってしまった。あぁこんな話ができるようになったのはお互いいい年になってきたってことだね。
『負け組』とか言わないでね。人生の中で生まれた『笑顔のトータル数』で幸せは測るもの。ゆるやかな秋風の夜、私たちは駅で別れた。


















