ほんとは電球には寿命はないんだよ、電気会社がつぶれないように切れやすくしてるんだよ…って、子供のころ聞いた記憶があるが、本当だろうか? メーカーを疑うわけではないが、どうも電化製品同士、3年周期くらいで結託しているのではないだろうか? もしくは童話の『くるみ割り人形』みたいに家人が眠る真夜中、「ねぇねぇ電話さん、最近調子悪いんじゃない?」「そう、わしももう寿命かの」「じゃあ、私も休もうっと」「え、洗濯機さんも引退するの? 僕も食品冷やすの疲れたなぁ」「冷蔵庫くんはあと3年頑張れよ、ビデオデッキのオレこそ潮時だ」とお互い話し合っているに違いない。
かくして先日、電話の受話器に雑音が混ざるようになり、テレビをつけると画面は上下圧迫され暗闇に光る羊羹(ようかん)状態。嫌な予感がして仕事部屋に行けば、案の定オーディオのスピーカーの音が割れてひずむ。そんな時に限って仕事の締め切りが迫っている。あせってパソコンの作曲ソフトを立ちあげるがダメだ、渾身(こんしん)のデータがフリーズして作業どころではない。
接触不良かと意を決して機材の裏側をのぞくと、あな恐ろしや、配線コードが熱帯雨林のジャングルと化し、あっちの穴には赤い線、こっちは黄色のプラグ、三つまたのコードはLとRと画像をつないで、と線を追えば、目がクラクラ船酔いしそうだ。
最初にセッティングした折、後になってもわかりやすいように色別テープを張ったり、作業が少しでも楽しいようにときれいなリボンでコードを縛ったり細心の配慮をしたはずなのに、夜な夜なこのコードたちは、私の目を盗んではテープを取り替えリボンをはずして台所やリビングや各部屋を遊び回り、家中を徘徊(はいかい)してたのだ、ゼッタイ。
困り果てた深夜、スタッフにSOS、パソコンの修理に来てもらった。するとだ、それまで私を無視し続けてたパソコンがウソのようにスムーズに機能し始めるではないか。あ、あれ? おかしいなぁ、朝からほんとにずっと全然動かなかったんですよ、だってね、電話の雑音が…あら、正常だ。テレビも画像が…やだ、ちゃんと映ってる。「辛島サン、仕事の遅れを機械のせいにしちゃダメですよ」。そう言ってスタッフは帰ってしまった。 恐れながら殿下、じゃない電化製品もしくは企業戦略よ、そう簡単には負けませんよー。地デジだろうがi−podだろうが、続々新製品が生まれても、君たちが本当に壊れて天命を全うするまで、使い倒させていただきます、敬具!


















