
ワールドサッカーで日本が惨敗した時は、列島中がシュン、とした。まるで甲子園の高校野球で、故郷や親せきの子を応援する熱意でみんなが祈っていた。オリンピックとは違う、1種目にかけるそのいちずさ。ベンチで打順を待つ野球とも違い、敵も味方も全員が汗をとばしフィールドを心臓が壊れそうなほど、駆け抜ける姿にも魅了される。
私はにわかサッカーファンで、選手にもルールにも詳しくない。しかし世界規模の催しは、普段気づかない日本のいろんな側面を見せてくれる。特に負けた時は興味深い。
試合に負けた事実をどう料理するか。今回はサッカー解説者の技量が垣間見れた。「惜しかった、悔しかった」しか述べない人、選手や監督の個人攻撃に走る人(こういう人はとかく結果が出てから『私も懸念してました』と偉そうに言う)、4年後の南アフリカへと問題を先送りしようとする人。
その中で印象に残ったコメントがふたつあった。スポーツジャーナリスト西村氏の「みなさん忘れないでほしい、オーストラリアに勝っていれば…とよく口にするけど、オーストラリアは1974年のベルリン大会以来やっと出場できて、今回初めての得点を入れたんですよ。スペインだって1950年のブラジル大会で4位が最高位のまま、56年も越えられず今回も決勝1次で敗退。日本とは歴史と執念の濃さが違うんです。簡単に決勝リーグに進めると思う方が甘いんじゃないでしょうか」という発言を聞いて、なるほどと思った。
もうひとつは、ブラジル完敗後、芝生に仰向けに倒れ涙した中田英寿選手を「あれはヒーローのとる態度ではない」と言った元巨人軍の張本氏。「一番大事なのはわざわざドイツまで来て応援してくれたサポーターへの感謝。他の選手が礼してる横で自分だけが悔し涙におぼれる姿は、美しくなかった。謝意を表した後で、ロッカールームで思いきり泣けばいいんだ、それが英雄なんだよ」。それを聞いてああ、張本さんはずっとそうやって涙をくいしばってきた選手だったんだ、とあらためて尊敬した。
サッカー協会の川淵会長はどうだろう。帰国して開口一番、次期監督の名前をすべらせてしまった。悪意はないにせよ、無関係の私ですらジーコを気の毒に思った。もしあなたが取引に失敗し、傷心で出張先から帰っていきなり「君の後任は○○くんに決めたから」と言われたら? 人は失敗したり困難と対峙(たいじ)した時こそ真価を問われる。チームワークの弱さは、空気を読めないトップの発言にも露呈されていた。


















