8月末、幼子3人の命を奪った福岡市職員による飲酒死亡事故を発端に、今すごい勢いで飲酒運転の取り締まりが行われている。この機会に徹底的にメスを入れ、法制も被害者の心情を理解したものに改正してほしいと願うが、同時に何か素直になれないのはなぜだろう?
ひとつはこのニュースを耳にするたびに思い出す、過去の飲酒事故の記憶だ。泥酔トラックによる追突で炎上した乗用車で、子供2人が死亡し父親も重度のやけどを負い、その後夫婦は飲酒運転常習犯だった運転手が懲役4年の罪にしかならない不条理を訴え、刑法の改正に至った事件だ。1999年の事故後ご夫妻が訴えを起こした時、社会が今のように動いていたなら、その後どれだけの命が犠牲にならずにすんだだろう。
今回なぜ警察が慌てたかというと、単に犯人が公務員だったからではないか? 公の奉仕職でも、殺人罪においてトラック運転手とどう違うのか? 管理下にある上層部の立場に火がついた結果という、見えない圧力を想像するのは私だけだろうか?
もうひとつは、本音が欠如していることだ。ある報道番組で、居酒屋でマークしていたグループが車に乗った途端「飲酒運転ですよ、違法じゃないですか!?」とカメラを向けていた。そのレポーターの顔には「いいネタ撮ったぞ」と書いてあった。いやらしいなぁと感じた。
飲酒運転けしからん!と、やいのやいの責めるけど、あなたは忘れてはいまい、「乾杯くらいいいじゃないですか」「3時間おけば大丈夫」「ちょっと口をつけるだけでも、お願いしますよ」、そんなふうに勧めていなかったか? また自らも行動していなかったか? 音楽業界はもちろん、マスコミ界のすべての人に「おれはいつもきっぱり断っていたさ」とは言わせまい。それをいかにも自分だけはと潔白面でヤリ玉にあげた人物を攻撃している態度がリアリティーに欠ける。
「私は弱い人間で1杯だけ飲んでました。事故を起こさなくて運がよかった、反省してます…」。そういうカミングアウトは罪になるのだろうか? 視聴者やサラリーマンはみんなどこかで「まぁまぁ、そんな堅いこと言わず」の世界に触れていたはず、それを寛大に見過ごしていた家族もいたはず。公でものを発言する人は、見え透いた聖人君子ぶりのコメントより、自分の弱さをさらけ出し、そのダメダメ人間の視点まで降りて、本音で内容の濃い事故防止策を考えてほしい。今年の暮れは安心リーズナブルな運転代行業が増えるだろうか。


















