「私、やせる!」。パスタを食べながら女友達Aちゃんが宣言した。「だからこれが最後の晩さんってわけ」。「また始まったか」。私は友人と目配せして笑いをこらえる。Aちゃんと知り合って5年、その間何回「最後の晩さん」をしてきたことか! 「よし、じゃあ今日はいっぱい食べよう!」。そう言い訳しながら食べ物と一緒に、ダイエットの誓いも胃で消化してきた数年間。当然彼女の体形に変化は訪れず、やせたのも太ったのも見たことがない。体重が減らないのだからリバウンド経験もまだなし。
でも実のとこ、彼女ちっとも太ってないのだ。私たちは本心で「やせる必要は全くないと思うよ」と言い、「でも頑張るのなら応援する」と盛り上げた。ただ今回は本気かもと女の直感が走る。鍼(はり)をうちながら3日間、先生の指示で断食するらしい。
不思議なもので40過ぎると同性に対する嫉妬(しっと)心は急激に減った。それどころか、自分にかかわる女性はみんな美しくいてほしいと思う。女友達はオノレの鏡。友人が美しければ私もそのオーラに磨かれる気がする。地球に引力があるように、人にも「魅(ひ)きあう」力が存在すると思う。よい環境によい人間が育つように、Aちゃんがやせてきれいになればそばにいる私たちにもそのキレイが伝わるはず。「そっか、断食するんなら、私たちも次回は食事しないで付き合うよ」と、断食中は私の家で「数種類のミネラルウオーター試飲会」と題し、水だけでしゃべり倒した。
さて1カ月後、待ち合わせの場所で見つけたAちゃんに「わぁ…」と私は一声。数秒後喜びがあふれてきて「Aちゃんやせた、やせた! おめでとーっ」。2人で手を取り合い横断歩道の前でピョンピョン跳ねた。もう1人の友達もやってきたので今度は3人で輪になってピョンピョン。「ね、5キロやせたって感じ?」「当たり!」。40歳前後で50キロ前後の女性の印象が変わるのは5キロが目安と再認識。それ以上では寂しい印象になる気がした。でもAちゃんはちょっとトーンを落とす。「やせたって言ってくれたのは辛島さんたちだけなの。会社の女性陣は何も言わないの。むしろ男性の方が気づくくらい」。彼女の再就職先は女性の平均年齢28歳のIT企業。そうね、彼女らは心身ともに微妙なお年ごろ。嫉妬の関所を越えるにはもうちょっと年季がいるかも? 気にしないでさぁ乾杯! 愛情と嫉妬は背中合わせ。けれど、40歳を超えると向き合って手をつなぐことだってできるのだ。40代は悪くない。早くみなさんいらっしゃい(笑)。


















