朝起きたら春が来ていた、じゃなくて、ケータイが壊れていた。きっと春一番がイタズラして電磁波を乱したに違いない。昨夜気づくと電源が切れており変だなと思ってONに戻して寝たのだが、翌朝また切れていて、もーウンともスンとも言わない。以前マネジャーにも同じような(羽田空港で電源を切って飛行機に乗り、旭川に着いたらON/OFF不能になっていた)ことがあり、その時はショップで簡単に直ったので安易に考えていたら、「深刻なダメージです」と予想だにしない回答が店員サンから返ってきた。携帯には数年来のたくさんのアドレスが入っている。「お気の毒ですが修理に出しても9割の確率でデータは戻らないでしょう」=あきらめなさい、と言葉優しく結果冷たく突き放され、すっかり路頭に迷ってしまった。
今や街行くほとんどの人が携帯を持っている。その多くの人がアドレス帳がわりに携帯を使い、私と同じようにバックアップをつい録(と)り忘れている人もいるだろう。なのになぜそんな「よくある災難」についてのアフターフォローに企業って不親切なのだろう? 現代の技術をもってすれば簡単に直せるはずなのに、やっぱり新機種を買わせることが最優先なんだ、と意地悪く勘ぐりながらも意地を張らず新しい携帯電話を購入、イチカラいや、住所録ゼロから出直すこととなった。
ショップのかわいいキャンペーンガールはニコニコ畳みかける「ワンセグにしますか? 海外両用にします? 音楽は? お財布ケータイとか…」。「いえ電話とメールだけでいいんです」「だったらラクラクホンにすればッ」と言いたそうに、キャンガーが笑顔の奥でチョイ切れしてる(笑)。
帰りの電車ではみんな携帯開いてメールやゲームに集中。神主さんが祝詞(のりと)をあげているみたいだなぁと、初めて自分の姿をかえりみた。
やだ、まだそんな古いアドレス帳に手で書き込んでいるの? 引っ越しの度に棒線で消して新住所を書き足すなんて、パソコンならずっときれいに整理できるのに。手紙より、メールなら確実にあっという間に届くんだよ、たくさんの情報もコンパクトに持ち運べるんだよ。お年寄りが銀行や空港やさまざまな場所で困っておられるのを見ると、少し頑張って覚えれば大きな便利が手に入りますよ、と教えたくなる。
けれど携帯ごときでアタフタしたり、他を寄せ付けない姿でメールしていた自分を振り返った時、どちらが本当に豊かで賢いのだろうと、梅の香りのなか立ち止まってしまった。


















