『ねんきん特別便』なる水色の封筒がポストに届いた時、「やだ不吉な予感…」とは正直思わなかった。「ねぇねぇ、ニュースで話題のねんきん特別便がさ、うちにも来たよ!」って友達と話のネタにしよう、なんて軽く考えていた。大学を出て音楽に進み、その間転職も副業もなし、未婚のゆえ苗字も同じまま。割とシンプルに生きてる方だと思う。だから同封された返信ハガキにも、『訂正なし』に○をして送ればいいだけと甘く見てたら…、ありゃりゃ平成3年〜5年の約2年間の年金記録が抜けている! 17年前? そんなの急に思い出せないよ…。法には従順なタイプなので、今まで払い続けていたものをあえて2年間だけ止めるはずもない。困り果ててマネジャーに電話すると「ああ、辛島サンとこにも来ましたか。実は僕も前の職場の分が抜けてるんですよ」「エ、あなたも!?」「僕だけじゃなく、カミサンなんか最後の職場の記録だけで、それまでの勤務は全部カットされてるんですよ」。
ありがたいことに「辛島クン、それはうちに移籍する前の事務所で厚生年金に加入してた時期だよ」と、現所属事務所の社長の記憶で原因解明、早速訂正書類を書くことにした…が、記入例の説明の文字の細かく、文面のわかりづらいこと! 一気にやる気がうせる。面倒くさいなぁ、もういいか…『訂正なし』の回答が85%もあるそうで、年配の人は特におっくうだろうし、もしやそれを狙ってあえて複雑な書類にしてるのでは、と勘ぐりたくもなる。
『ねんきん特別便専用ダイヤル』に電話をしても全然つながらず、区役所に電話したらすんなりと地域の社保庁を紹介してくれた。そこで予約を取れば待たずに相談できるが、知らない人も多いかもしれない。
担当の方と私の年金手帳のいわゆる『名寄せ』により、『宙に浮いた年金』の2年分は無事に改訂され、これで一安心。と思ったら新たな問題が発覚した。昭和59年〜61年の国民年金が未納になっていたのだ。そのころ私は大学を卒業し、母が「美登里は女の子だからいずれお嫁に行くし、だんなさんの給料だけじゃ肩身が狭いだろうから」と言い、音楽を目指し就職をしなかった私の代わりに、父が年金を納めてくれていた3年分だった。「その後ご本人が東京で納入するようになった際、鹿児島の納入記録が消失したのかもしれません」。担当者はそれなりに親切だったと思う。ただ、私にとっては何物にも代えがたい両親の愛の詰まった3年間が『宙に浮いて』いる。調べて結果が出るまで半年以上かかると言われたけど、必ず手元に、と胸に刻んだ瞬間だった。


















