吉永酒造はJR指宿駅にほど近い住宅地にある。明治38(1905)年創業という木造蔵の静かなたたずまいからは、年間500石(1石=100升)もの焼酎が製造されているとは想像もつかない。隣接する小売店も、昔懐かしい町の酒屋さんといった趣だ。
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| ▲蔵の中央にある井戸 |
100年以上の歴史を持つ蔵も企業の協業化のため一時休止していたが、4代目の吉永俊公さんが25年前に再開。以来、妻のひろみさんと二人三脚で歩んできた。「サラリーマンの奥さんになったつもりだったのに」と笑うひろみさんだが、今では米に種麹を振るなど焼酎造りの要の作業を担っている。
銘柄は南薩のコガネセンガンを蔵の井戸水で仕込んだ『利八』一本。創業時から造り続けてきた『さつま白雪』をリニューアルし、2代目吉永利八の名を冠したものだ。「コクがあって、味がのびる」ことが特徴だという。「のびる」とは薄めても本来の味がぼやけないこと。老舗蔵ならではの蔵つき酵母と、ごく微量の塩分を含む井戸水がぶれない味わいの秘密だろうか。その味は舌の肥えた焼酎党に支持されている。
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| ▲俊公さんとひろみさん。看板犬の「ハチ」は「利八」から取った |
1銘柄にこだわってきた理由は「(いろいろな種類を)造りたい気持ちはあるが、2人で造れる量には限りがあったから」と言うが、ブームよりも地元のニーズを優先させてきた表れでもある。
慌ただしい仕込みが一段落し、1枚1枚手作業でラベルを張る夫妻の傍らで、俊公さん念願の「新品種のサツマイモを使った原酒」が熟成の時を刻んでいた。あうんの呼吸が生む、ニューフェースの登場は間近だ。
(「てぃーたいむ」2008年4月号掲載)
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所在地
指宿市十二町645
電話
0993(22)3015
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