ロマン派を得意とし、特にシューベルトの演奏で高い評価を得ている。ソロ演奏、夫のピアニスト矢澤一彦さん(37)とのリサイタルを中心に幅広く活動。「シューベルトの音楽はまるで麻薬のよう。甘美で危うい、底知れぬ魅力から逃れるのは到底できないと思い始めている」
鹿児島市に生まれ、5歳でピアノを始めた。鹿児島中央高から桐朋学園大に進学。卒業後、フランス国立マルセイユ音楽院、ベルギー王立ブリュッセル音楽院で研さんを積み、国際コンクールで受賞するなど活躍した。
2005年に帰国。欧州での生活は9年半に及んだ。「現地の空気に触れることができたのは一生の財産」と振り返る一方で、「欧州在住に勝る幸運は鹿児島で生まれ育ったこと。おかげで今の自分がいる」と実感を込める。
その故郷から本年度、将来性豊かな芸術家を対象にした「第33回鹿児島市春の新人賞」を贈られた。受賞記念コンサートを4月25日にサンエールかごしまで開く。「自分の一番いい演奏をしたい」と意気込む。問い合わせは田丸寛音楽事務所=099(206)6339。
初めての単著となる「条件不利地域の農業と政策」(農林統計協会、3990円)を出版した。農業生産の条件不利性について「水田傾斜分級」という概念を設定。大分、秋田、新潟といった地域を例に挙げながら、統計と実態分析で、問題点を浮き彫りにしている。
「政策が有効に機能している地域もあるが、過疎・高齢化でその政策さえも受け入れられない限界集落も存在する。ただ古里を守りたいという運動は確実に広がっている」。集落消滅の危機などの問題を抱えた中山間地域を支援する「中山間地域フォーラム」事務局の一員でもある。300人を超える産官学のネットワーク組織。期限切れを控える過疎法や生産条件が不利な中山間地域などに対する「直接支払い制度」に対して政策提案を行う予定だ。
加治木町出身。鶴丸高校を経て東大では農業経済学科に進んだ。最近、東京一極集中のせいか、講師を務める明治大学も首都圏出身者が多いという。都会っ子に対して「地方の知恵を学んで」と多様性の大切さを説く。酒を愛し、世界と日本のビールの空き缶収集が趣味だ。