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 昨日に続いて歌の話で始めるのは恐縮だが、鹿児島出身の森進一さんにヒット曲「港町ブルース」がある。いざなぎ景気に沸く1969年に発売された。

 翌年は大阪万博があり、「ディスカバー・ジャパン」と銘打った旧国鉄の旅行キャンペーンも始まる。旅情を誘う歌詞は、高度成長期の時代の気分に合ったようだ。

 <背のびして見る海峡を>で始まる歌は函館から三陸、四国の港をたどり、一路南下する。時代は沖縄の日本復帰前だ。最後の6番に<ここは鹿児島 旅路の果てか>と歌われたのは、間違いではなかった。

 日本画家田中一村が奄美に移住したのも、沖縄復帰の14年前になる。中央画壇を離れ、絵と向き合うため、南を目指したともいわれる。終焉(しゅうえん)の地は才能を開かせた地だ。

 沖縄県立美術館は復帰40年を記念し、大型連休まで一村展を開いた。副題は「琉球弧で開花した美の世界」。植物や魚、鳥など亜熱帯の原風景を描いた作品は、沖縄の人々にもなじみの深いものだっただろう。作品を貸与した田中一村記念美術館(奄美市)の学芸専門員堀脇広樹さんは、同様の作風が沖縄にないのも人気を集めた理由と話す。

 「たられば」の話にはなるが、沖縄復帰がもっと早かったら、そして一村が沖縄に渡っていれば、どんな作品を残したか、興味は尽きない。沖縄の港町を織り込んだブルースとともに鑑賞してみたかった。


 
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