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 70歳にあたる古希は唐の詩人、杜甫の漢詩「人生七十古来稀(まれ)なり」に由来する。日本人の平均寿命は80歳を超え、現役でバリバリ働く70代も珍しくない。

 日本国憲法はきょう古希を迎えた。 「平和國家(こっか)へ總(そう)努力」 「自由の翼をひらく」と、本紙は新憲法の施行を祝う。旧字体の見出しは古くさいが、新時代を切り開く希望と決意がみなぎる。

 鹿児島市出身のタレント松元ヒロさんは、憲法を人間に見立てた一人芝居を20年来続けている。昨年末には芝居を基に憲法を分かりやすく解説した絵本「憲法くん」 (講談社)を出版した。

 ツンツンヘアでタキシード姿の「憲法くん」は舞台を跳びはねる。「まだまだがんばります。だって、まだ70歳です」と若々しい。「憲法が時代に合わなくなった」との声に、理想と現実が違えば、現実を理想に近づけるよう努力すべきだと訴える。

 本紙の県民世論調査ではこの10年、憲法改正を容認する人が過半数を占める。しかし、改憲機運が高まっているかといえば首を横に振るしかない。「護憲か改憲か」の対立が先行し、国民的議論は深まっていない。施行70年の節目を学び直しの年にしたい。

 「わたしをどうするかは、みなさんが決めることです(中略)みなさんに託しましたよ」。「憲法くん」は終幕で観衆に呼び掛ける。戦争の反省から生まれた憲法を生かすも殺すも主権者にかかっている。