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 花束のプレゼントはうれしいものだ。その中にバラの大輪が交じっていると、ひときわ幸せな気分になる。気品漂う「花の女王」は目も鼻も引きつける。

 バラの香りで身近なのは、かぐわしいせっけんだろうか。鹿屋市のかのやばら園で、ばら祭りが開催されている。紅茶系、フルーツ系、スパイス系と香りの系統はさまざまだ。濃厚な芳香、弱香、微香と品種により強弱も違う。香りの奥行きはまるで迷宮のようである。

 ところが、バラのルーツの野生種はあまり香りがしないと、地元のバラ園芸家に教わった。香りは本来、昆虫を誘い込んで受粉させるためだけに存在している。人がかいで楽しむような香り高さは不要なのだという。

 バラの歴史は人工交配と品種改良の歩みに重なるほど人との関わりが深い。しかし、一説には人類が誕生するより1200年早く地球に自生し自然交配していたとされる。人との出合いにより余分な役目を負ったのかもしれない。

 とはいえ、そのおかげで人は潤いのある暮らしを満喫できる。ポプリやローズウオーターを愛用している人もいるだろう。時に癒やされ時に心を浮き立たせる。香りの多様性を広げてきたバラの広大な家系を思う。

 かすかな香りで種をつなぐ野生種。そのタフな生命力が引き継がれているからこそ人の手が入るのを花の女王は許してくれる。自然界の妙に感謝を忘れまい。