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 陸海空の自衛隊には、それぞれ三者三様の文化があるという。自衛隊内では互いに親しみを込めつつ、やゆする四字熟語が語り継がれているそうだ。

 万全の準備で大人数を動かす陸自は「用意周到、動脈硬化」。海の男の団結力を誇る海自は「伝統墨守、唯我独尊」。行動の瞬発力が問われる空自は「勇猛果敢、支離滅裂」。ちなみに報道機関は「浅学非才、無知蒙昧(もうまい)」などと、煙たがられているとか。

 その自衛隊を統括する稲田朋美防衛相が辞任した。昨年8月、内閣改造の目玉として起用された安倍晋三首相の秘蔵っ子である。閣僚の資質を問われ続けた約1年だった。

 実績で信頼を勝ち取れればよかったが、その場しのぎの国会答弁は頼りなかった。森友学園の訴訟を巡っては、関与を否定した答弁を一転させて謝罪に追い込まれた。東京都議選の応援演説では、自衛隊の政治利用と取られる発言で非難された。

 内閣支持率を急落させたと批判されても辞任を否定し続けた。強気の源は、「将来の総理候補」とまで持ち上げた首相の後ろ盾を信じていたからか。南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で関与が指摘され、さすがに持ちこたえ切れなかったのだろう。

 遅きに失した辞任劇である。四字熟語にならえば、「寵愛(ちょうあい)一身、厚顔無恥」といったところか。国民にとっては「政治劣化、迷惑千万」に尽きる。