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 「うちの子を しかってくれて ありがとう」。鹿屋市の大姶良小学校区で見かけた看板に、大きな文字が躍っていた。地元の住民グループが考えた標語である。

 悪さをするのを見かけたら、よその子であっても分け隔てなく注意する。ひと昔前まではごく普通に見られた光景だ。標語には、しつけの良き習慣を取り戻したいとの思いがうかがえる。健やかな成長を見守る住民のまなざしは温かい。

 ただ、子どもを取り巻く環境は安らかとは言えない。見知らぬ大人による声掛けなどの事案が、県内でも増えている。県警によると、6月までの半年間で昨年の同じ時期より19件多い379件あった。

 鹿屋市では夏休み前、不審者情報が毎日のように報告されていた。地域の子どもたちは、道端で会うと誰でもあいさつする。こうした純真さにつけ込む人間がいると思えば、心静かではいられない。

 子どもの外出時間が増える夏休みに入り、地域の見守り隊も警戒を強めている。炎天下、防犯活動に汗を流す人たちでさえ、不審者と誤解されないよう気を使っていると聞く。何とも寂しい話である。

 実は大姶良小学校区の看板は、今はない。これも世の流れかと残念に思っていたら昨年の台風で壊れただけで、建て直すという。「しかってくれてありがとう」と感謝できる世の中はやはり健全だ。安心安全な地域づくりに手を取り合いたい。