沖縄県の尖閣諸島沖で、中国のトロール漁船が海上保安庁の巡視船に接触して逃走し、中国人船長が公務執行妨害の疑いで逮捕された。
外務省は「漁船が日本の領海に入り、違法に操業した」として中国の程永華駐日大使に厳重抗議した。これに対し中国側は「尖閣諸島は昔から中国の領土だ」と反論し、丹羽宇一郎駐中国大使を呼んで抗議した。
尖閣諸島は歴史的にみても日本の領土であり、中国側の主張に正当性はない。他国との領有権問題は存在しないというのが日本の一貫した立場だ。日本政府が中国側に抗議したのは当然である。
日本領海での違法行為には断固とした態度を示す必要がある。海上保安庁には国内法にのっとって事件の厳正な捜査を望みたい。
海上保安庁によると、中国漁船は7日、尖閣諸島の久場島沖約12キロの日本領海内で、巡視船の停船命令に従わず、船体に接触してそのまま逃走した。追跡した別の巡視船とも接触した後、停船した。
この事件が日中間の外交問題に発展した背景には、尖閣諸島の領有権をめぐる争いがある。
中国は1970年前後から、尖閣諸島は古代より台湾領土で、第2次大戦終結後に台湾とともに中国側に返還すべき領土だったと主張している。92年には「釣魚島」の名称で尖閣諸島を中国領と明記した領海法を制定し、同諸島と周辺海域への侵犯には実力で対処する方針を示した。
だが、尖閣諸島は1895年に沖縄県に編入され、かつては住民が建設した船着き場やかつお節工場などもあった。第2次大戦後は米国の施政権下となったものの、1972年に沖縄とともに返還された。
中国は尖閣諸島周辺海域で石油などの資源が確認される以前は領有権を主張していない。むしろ中国側の地図などで「琉球群島の一部」として日本領であることを認めていたことからも、日本側主張の正当性は裏付けられている。
中国は近年、海洋権益の確保を狙って東シナ海などで海軍力増強を図っている。こうした事情を背景に中国の漁船が違法操業をしているとすれば許されることではない。
今度の事件で北京の日本大使館への抗議活動があったが、反日世論を容認するかのような中国当局の姿勢は遺憾である。日中関係全体を損なうことがないように、中国政府は冷静な対応に努める必要がある。
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