[GPS捜査] 違法厳格なルール整備急げ
( 3/17 付 )

 あいまいな運用を続けてきた警察の姿勢に警鐘を鳴らしたと言えよう。

 裁判所の令状なしに捜査対象者の車に衛星利用測位システム(GPS)端末を取り付ける捜査手法について、最高裁は「違法」と判断した。

 最高裁によるGPS捜査の適否の判断は初めてだ。「プライバシーを侵害し、令状が必要な強制捜査に当たる」と断じた。

 人権を侵害する捜査に適正な手続きを定めた「令状主義」の趣旨にも沿う。恣意(しい)的な捜査が行われないよう歯止めをかけた意義は大きい。

 注目されるのは、最高裁が新たな立法措置を促したことだ。現行法の令状に基づく対応には疑義があると指摘し、ひそかに行うGPS捜査の特性を踏まえた仕組みづくりに言及した。

 判決を受け、警察庁はGPS捜査を控えるよう全国の警察に通達を出した。捜査現場への影響は避けられそうにない。

 警察が今後もGPS捜査を必要とするなら、ルールの整備が急務だ。厳格な手続きや対象犯罪を限るなど法律で明確に定めることが求められる。

 GPS捜査は強制捜査に当たるか、それとも尾行や張り込みの延長で令状不要の任意捜査か―。

 各地の裁判所では違法性が争われ対立が続いてきた。高裁レベルの判決も真っ二つに割れている。

 最高裁が審理したのは関西を中心とした車両などの連続窃盗事件だ。GPS捜査のあり方が最大の争点になった。

 捜査は多かれ少なかれプライバシーの侵害を伴うが、GPS捜査の特徴は常時監視が可能になることだ。尾行のように相手を見失うこともない。

 判決はプライバシー侵害を重くみた。位置情報を蓄積して分析すれば、交友関係や思想・信条など犯罪と無関係な個人情報が集められる恐れがあるためだ。

 警察はこれまでGPS捜査を任意捜査と位置づけ、有力な捜査手法として活用してきた。

 一方で、捜査の実施を捜査書類に記載しないなど「保秘の徹底」を指示している。詳しい運用実態は分からないままだ。

 科学技術の進歩が著しいのはGPSだけではない。カメラの顔認証システムといった新たな捜査手法の導入も想定される。従来の法律の解釈での運用が困難になるのは当然だ。

 法整備に向け、人権保護とのバランスをどう両立させるかが問われる。国会での開かれた議論が必要だ。