[原発避難者判決] 国と東電は責任痛感を
( 3/19 付 )

 ひとたび原発事故が発生すれば甚大な被害をもたらす点を重く見た画期的な判決である。

 東京電力福島第1原発事故で、福島県から群馬県などに避難した住民らが国と東電に約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が前橋地裁で言い渡された。

 国と東電が「想定外」と繰り返してきた津波についての主張を否定し、「津波を防ぐことは可能だった」と両者の責任を認めて計3855万円の支払いを命じた。

 原発の津波対策を巡る訴訟で国と東電の過失が認められたのは初めて。両者は判決を重く受け止めるべきだ。

 全国で起こされている約30件の同種訴訟や、強制起訴された東電の旧経営陣らの刑事裁判などの行方に影響する可能性もある。

 争点の核心は津波の予見可能性だった。

 政府は2002年、「福島県沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」とした長期評価を発表した。

 判決は、その数カ月後に国と東電は巨大津波を予見できたとし、東電は長期評価に基づき津波の高さを試算した08年には実際に予見していたと判断した。

 さらに配電盤を高台に設置するなどの措置は容易で、こうした措置を取っていれば事故は起きなかったと指摘した。

 安全よりも経済的合理性を優先させたことなどに関し、「特に非難に値する事実がある」と指弾したのは当然だろう。

 国については、07年8月に東電の自発的な津波対策が難しい状況を認識しており、規制権限に基づいて対策を取らせるべきだったのに怠ったとし、「著しく合理性を欠き違法だ」と認めた。

 賠償については、「ふるさと喪失」など5項目の要素を掲げて原告ごとの慰謝料額を算定した。

 ただ、判決で認められた賠償額は低く、納得できない原告も少なくなかろう。

 避難者への賠償は、国の指針や東電の賠償基準などの枠組みの中で進められてきた。それに納得できない多くの人が司法に期待して訴訟に踏み切っている。判決を機に、原発災害が重大な問題であることを今一度確認したい。

 事故から6年たつ。福島県内外では今も7万7000人が避難を余儀なくされている。

 ほぼ唯一の支援だった住宅の無償提供が今月末で打ち切られる自主避難者の暮らしは、特に厳しさを増すのは避けられない。

 国や東電は、被災者救援のための手だてを講じる責任がある。