[日ロ2プラス2] 領土進展へ信頼醸成を
( 3/23 付 )

 日本、ロシア両政府は外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を東京で開いた。2013年11月以来2回目で、ウクライナ危機で中断されていた。

 今回の協議はプーチン大統領の早期開催要請を踏まえた対応だ。日ロ接近の演出で米国をけん制し、対ロ制裁を科した先進7カ国(G7)の連帯も切り崩したいロシア側の思惑が透ける。

 それでも日本が再開に応じたのは、安全保障の分野で信頼醸成を図ることで北方領土問題の前進につなげる狙いがあるからだ。

 昨年12月の日ロ首脳会談では、めぼしい成果は得られなかった。2プラス2を首脳会談の仕切り直しとし、領土交渉打開への糸口を探る場にしたい。

 懸案の平和条約交渉に関しては両国外相が緊密に話し合い、成果を上げていくことで合意した。北方領土での共同経済活動は、優先事業の絞り込みや法的枠組みの検討を進めることになった。

 北朝鮮問題を巡っては、核・ミサイル開発阻止へ協力する方針で一致。挑発行動の自制や国連安全保障理事会の制裁決議の順守を求めるとした。

 北朝鮮包囲網を作るうえで、両国が連携する意義は大きい。北朝鮮の後ろ盾であり、ロシアと良好な関係を結ぶ中国をけん制する効果もありそうだ。

 ただ、あらためて浮き彫りになったのは日ロ双方に横たわる溝の深さだ。安保観の食い違いは隠しようもない。

 ロシア側は、北方四島は軍事戦略的に重要との位置づけだ。日ロ首脳会談では帰属問題と並び、安保面でもロシアの譲歩が困難なことが明確になった。

 実際、北方領土でロシア軍による軍事力増強が続いている。最新鋭の対艦、対空ミサイルが配備され新たな師団配置計画もある。

 稲田朋美防衛相が「北方四島は日本固有の領土であり遺憾だ」と抗議したのは当然である。

 一方、ロシア国防相は日米のミサイル防衛(MD)強化方針を批判した。対米不信感を背景に日米同盟への警戒感は強い。

 ロシアが日本の求めに応じ、軍備を見直す可能性はほとんどないとされる。粘り強く交渉を続けることが欠かせない。

 2プラス2を巡る日本の発想は機微に触れる課題で率直な関係を築ければ、平和条約締結への機運をはぐくめるというものだ。

 着実に政治対話を重ね、前進させることが大切だ。安倍晋三首相はロシア側の対応を見極め、しっかりかじ取りをすることが求められる。