[PKO撤収開始] 転機迎える活動検証を
( 4/19 付 )

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊の撤収が始まり、第1陣約70人が帰国の途に就いた。来月末までに全部隊を引き揚げる。

 現地では政府軍と反政府勢力の対立で内戦状態に陥っている。

 部隊には昨年11月、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」などの新任務が付与されたが、実施されない見通しが高い。

 南スーダンPKOではさまざまな問題点が浮上した。

 安倍政権が掲げる「積極的平和主義」の下で、国際貢献をアピールできたか。憲法違反の疑義がある安保法の既成事実化につながったのではないか。

 PKOは大きな転機を迎えている。活動の意義や国際貢献のあり方を国会などでしっかり検証すべきだ。

 部隊派遣は2012年からだ。道路補修などインフラ整備を目的に、派遣人員は現在の11次隊まで延べ3800人余りに上る。

 この間、不安定な治安に翻弄(ほんろう)され続けた。昨年7月に首都ジュバで起きた大規模戦闘などで活動は大きく制限された。

 政府は今年3月になって突然、撤収を発表した。活動5年目の節目を迎え、治安の悪化が理由でないと説明したが、いかにも唐突で説得力に欠ける。

 注視したいのは武器使用基準を緩和する新任務が付与された結果、自衛隊活動の拡大に道筋がついたことだ。

 新任務付与から撤収開始決定までわずか4カ月しかない。安保法運用の実績作りだったと言われても仕方あるまい。

 撤収という出口戦略が妥当かどうかを検証するには、正確な情報と理由の開示が欠かせない。政府は誠実に説明責任を果たしてもらいたい。

 紛争が激しさを増す中、停戦合意などPKO参加5原則が崩れているとの指摘も相次いだ。もっと早い時期に撤収を決断できなかったか問い直すことが必要だ。

 昨年7月の現地情勢を巡り、「戦闘」と記述した部隊作成の日報問題もゆるがせにできない。隊員が巻き込まれる危険性にも触れていたのに、稲田朋美防衛相は「武力衝突」と言い張った。

 さらに、日報は陸自などに保管されていたのに廃棄されたとした「隠蔽(いんぺい)」疑惑も残っている。特別防衛監察の調査結果の早急な公表が求められる。

 日本が初めてPKOに参加したカンボジア派遣から25年。支援は憲法の枠内で行われることが前提だ。自衛隊の活動には、国民の理解が欠かせない。