[米副大統領来日] 平和はあくまで対話で
( 4/20 付 )

 米国のペンス副大統領が就任後初来日し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対処について安倍晋三首相と協議した。

 ペンス氏は「平和は力によってもたらされる」と述べるなど、強硬姿勢を鮮明にした。

 安倍首相は、軍事力行使を含む「すべての選択肢」を掲げるトランプ政権への支持を改めて表明。「北朝鮮が対話に応じるよう、圧力をかけることが必要だ」と指摘した。

 首相の発言に米国の武力行使を容認する意図があるとすれば、看過しがたい。圧力はあくまでも衝突を避け、対話の道を開くことが最大の目的である。

 日米両政府は、平和は力ではなく対話によって達成すべきことを肝に銘じてもらいたい。

 北朝鮮は故金日成主席の生誕105年の軍事パレードで弾道ミサイルを公開するなど、力を誇示する。ペンス氏が韓国と日本を訪問する直前には、失敗したものの弾道ミサイルの発射を強行した。

 緊張を高める挑発行為であり、直ちにやめるべきだ。

 ペンス氏は韓国訪問の際も、米韓が北朝鮮の新たな軍事挑発に「強力な懲罰的措置」で臨む方針で一致している。「北朝鮮はトランプ大統領の決意や米軍の力を試すべきではない」と軍事行動の可能性をちらつかせた。

 だが、米朝の軍事衝突が現実になれば、韓国と日本への影響は避けられない。日米韓と中国は連携し、北朝鮮を話し合いの場に引き出す努力が必要だ。

 米朝間の緊張の高まりは日本にとって、安全保障関連法に基づくさまざまな事態への対処が現実味を帯びてくることにもつながる。

 例えば、日本を射程に収める弾道ミサイルの発射兆候が確認され、北朝鮮が「東京を火の海にする」などと宣言すれば政府は「存立危機事態」を認定する。自衛隊が米艦を防護し、集団的自衛権を行使して共に北朝鮮に応戦することもあり得る。

 そうなれば、自衛隊員はもちろん、国民にも大きな被害が出ることが予想される。絶対に回避しなければならない。

 ペンス氏の来日のもう一つの目的は経済対話である。2国間の自由貿易協定を強く求める米国と、自由な貿易・投資ルールをアジア太平洋地域に広げたい日本との溝が明らかになった。

 気掛かりなのは、北朝鮮情勢が緊迫した場合、安全保障で依存する米国の要求を日本が拒めなくなるのではないかということだ。

 冷静な協議を継続し、経済を駆け引きの材料にしてはならない。