[辺野古護岸工事] 立ち止まり再考すべき
( 4/25 付 )

 政府は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に向けて、埋め立て区域の外枠を造る護岸工事に今日にも着手する構えだ。

 辺野古では2015年10月に施設の本体工事が始まった。今年2月から海上の工程に進み、1個十数トンのコンクリート製ブロックを海中に設置して汚れ拡散を防ぐ膜を張る作業をしていた。

 護岸工事は埋め立て前の最終工程だ。大量の石材や消波ブロックを海底に積み上げる。着手すれば、原状回復は極めて困難になるだろう。

 翁長雄志知事も稲嶺進名護市長も移設への反対姿勢を崩していない。辺野古の現場周辺では、地元住民らが抗議を続けている。

 地元の理解を得られぬまま、大規模な環境破壊を招く工事を進める妥当性がどこにあるのか。政府は一度立ち止まり、再考すべきである。

 辺野古周辺の大浦湾は、国の天然記念物ジュゴンや貴重なサンゴなどが生息する。日本生態学会は生物多様性を高く評価し、「最も貴重な海域の一つ」と保全の必要性を指摘している。

 埋め立てには県外から持ち込まれる土砂も大量に使われる。生態系に深刻な影響を及ぼすのは必至だ。貴重な自然を将来に引き継ぎたいと考える人が、工事に反対するのは当然と言えよう。

 だが、政府は辺野古移設に固執している。2月に来日したマティス米国防長官も「プランは二つしかない。一つは辺野古。二つ目も辺野古だ」と言い切った。日米両政府は辺野古を唯一の選択肢と決めつけている。

 辺野古は1996年、両政府が返還に合意した普天間飛行場の移設先として99年に閣議決定した。

 確かに、普天間飛行場の運用中止は急務だ。宜野湾市街地の中心部にあり、市民は騒音や事故の危険にさらされ続けている。合意から約20年たつにもかかわらず、飛行場が存続している状況は看過できない。

 だからといって、辺野古移設を強行する理由にはならない。

 辺野古には、普天間にはなかった大型船舶用の岸壁も計画されている。単なる移設ではなく、基地機能増強という見方もある。普天間が返還されても、県全体で見ればむしろ負担増になるという地元の懸念は十分理解できる。

 安全保障上、絶対に必要な移設なのか。ほかに代替案はないのか。政府は米国側と歩調をそろえることだけに腐心するのではなく、国民の疑問や不安を直視して解決策を探らなければならない。