[自主避難者支援] 議会の要望に耳傾けて
( 6/18 付 )

 東京電力福島第1原発事故の避難区域外からの自主避難者に対する住宅支援打ち切りから2カ月余りになる。この問題を巡り、これまでに少なくとも16都道府県の80地方議会が国などへ支援継続を求める意見書を可決した。

 3月までの状況をまとめた復興庁によると、多くの議会が自主避難者の窮状を指摘している。支援に消極的な国に対して不満の声を上げている格好だ。

 国はこうした声に真摯(しんし)に耳を傾け、福島県と協力して支援再開を検討するべきだ。

 福島県は「インフラ整備や除染が進み、生活環境が徐々に整ってきた」とし、3月末に自主避難者への住宅無償提供の支援を打ち切った。対象は昨年10月末時点で約2万6000人に上る。

 古里への帰還を促し、復興を軌道に乗せようという狙いは理解できる。だが、放射線による健康不安は拭いきれず、避難を続ける人は多い。子どもへの影響を考えて仕事がある夫を残し、母子で避難している世帯も少なくない。

 住宅支援のなくなった自主避難者の家賃負担は大きく、経済的な困窮が懸念される。

 自主避難者は徳島と高知を除く45都道府県に広がっている。鹿児島県内では6世帯17人が支援の対象だった。

 各議会の意見書は「住宅は最も基本的な生活基盤で、避難者にとって唯一の命綱だ」「特に小さな子どもの親たちは避難の継続を希望している」など支援の必要性を強調している。

 地方議会は避難者に寄り添い、その心情に共感しているようだ。国は意見書の訴えから目を背けてはならない。

 自主避難者の帰還を巡っては、今村雅弘前復興相が「本人の責任」と述べて批判を浴びた。

 確かに避難者は自らの判断で避難した。だが、帰りたくても帰れないさまざまな事情を忘れてはならない。そもそも、国が推進する原発で事故がなければ避難する必要はなかったはずだ。

 鹿児島県内に避難した人からは「自主避難者の精神的苦痛には何の保障もない。原発さえなければ福島に居続けられたのに」という声が聞かれる。

 4月以降、自主避難者を受け入れる自治体の中には、独自に住宅支援をするケースもある。とはいえ、全国一律ではなく不公平感は否めない。

 今からでも遅くはない。国は改めて自主避難者の実情を調査する必要があるだろう。生活の現状や将来への不安などを把握した上で、支援のあり方を考えてほしい。