[国会閉幕] 国権の最高機関が泣く
( 6/18 付 )

 これほど熟議と程遠く、乱暴な国会運営があっただろうか。国権の最高機関が泣く。

 通常国会はきょう閉幕する。150日の会期中に安倍政権が示した姿勢は、議論に真正面から向き合わず、議会のルールを軽視する強権的な振る舞いだった。

 範を示すべき安倍晋三首相が誠実さに欠ける答弁に終始し、率先して国会の空洞化を進めたといえよう。責任は極めて重い。

 犯罪の計画を罰する「共謀罪」の構成要件を取り込み「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議には、あぜんとせざるを得ない。

 それを象徴する場面が5月の参院法務委員会であった。民進党の質問で答弁に立とうとした金田勝年法相を隣席にいた安倍首相が慌てて押しとどめ、政府参考人の法務省刑事局長に答えさせた。

 金田法相の答弁はちぐはぐで、およそ法案の中身を理解していないのではないかと思わせるのに十分だった。

 所管大臣がまともに説明できないこと自体、異常である。官僚に答弁させ取り繕おうとしたが、政府としての説明のほころびを覆い隠すことはできなかった。

 首相は「丁寧で分かりやすい説明を心掛ける」と述べていたはずだ。結局、委員会での採決を省いて本会議で採決を強行した。

 法案を委員会で審議する国会の「委員会中心主義」の否定にほかならない。

 森友学園への国有地の格安払い下げや加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑は、首相や首相夫人に近い人脈に前例のない優遇措置がとられたのではないかという政権中枢につながる問題である。

 だが、政権は真相解明には及び腰で、野党の批判を封じるために情報を隠したとしか思えない。

 加計学園問題で、「総理のご意向」などと記した記録文書の存在を証言した前川喜平前文部科学事務次官に対し、個人攻撃に出た政府のやり方はひどい。

 今国会で焦点となった忖度(そんたく)の横行は、官邸による行き過ぎた官僚締め付けが根っこにある。首相は「決める政治」を看板に掲げるものの、ともすれば「独断政治」に陥るに違いない。

 論戦を通じて政策や法案の趣旨を明らかにし、問題点があれば見直す。国会の基本的な役割を放棄すれば議会政治は根腐れする。

 日本の喫緊の課題は共謀罪でも憲法改正でもなかろう。国民の暮らしを守るため、社会保障の改革や財政再建などに取り組むことこそが、喫緊の課題であることを与野党とも自覚すべきだ。