[受動喫煙対策] 法整備は待ったなしだ
( 6/27 付 )

 受動喫煙防止の強化を図る健康増進法改正案の国会提出が先送りされた。

 焦点となっていた飲食店での喫煙規制について、自民党が厚生労働省の改正案に反対し、最後まで折り合えなかったためだ。

 気になるのは、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、実効性のある対策がきちんと取れるかどうかである。

 世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は協力して禁煙を進めている。08年以降の五輪開催国では、罰則を伴う喫煙規制が導入されてきた。

 日本政府の対応が遅れれば、信用低下は免れまい。残された時間はそう多くない。

 ただ五輪開催の有無にかかわらず、法整備は待ったなしだ。政府は国民の健康を最優先する観点から、秋に想定される臨時国会での法成立に努めてもらいたい。

 厚労省と自民党が対立したのは、例外的に喫煙を認める飲食店を巡る線引きだった。

 厚労省の改正案は、店舗面積が約30平方メートル以下の小規模なバーやスナックなどに絞る内容だ。

 これに対し、自民党は飲食店の面積基準を150平方メートル以下に設定。「喫煙」「分煙」の店頭表示などの条件を満たせば、喫煙を認めるとの対案をまとめた。

 これでは厚労省案と比べて面積が5倍に拡大され、すべての業態の飲食店が含まれてしまう。喫煙規制の骨抜きに等しく、到底容認できない。

 分煙については「煙や化学物質を完全に排除できず効果がない」(WHO)との指摘もある。自民党が「日本は分煙大国になればいい」とするなら的外れだ。

 WHOは公共の場所を飲食店や病院、大学、職場など8種類に分類し、すべての屋内を全面禁煙するよう求めている。欧米など49カ国はこうした規制がある。

 これに照らすと、日本の現行対策が世界最低レベルと評価されるのも仕方ない。厚労省案ですら緩やか過ぎて、世界標準には達していないといえる。

 一方、たばこを吸う人への配慮が必要なのは当然だ。厚労省は公共の喫煙所を拡充するなど十分な対策を講じてほしい。

 折しも東京都議選で、各党がこぞって受動喫煙防止条例の制定を公約に掲げる。厚労省からは「都の対策が先行すれば、法改正に向けた機運が消えうせてしまう」との懸念の声が上がっている。

 国レベルの対策こそ喫緊の課題だ。まず自民党が厚労省に歩み寄るべきである。国民の理解を得られる法整備が欠かせない。