[タカタ破綻] 危機管理の甘さ命取り
( 6/28 付 )

 危機管理の甘さが命取りにつながった。企業統治の抜本的な見直しが必要だ。

 自動車部品メーカーのタカタが東京地裁に民事再生法の適用を申請した。欠陥エアバッグのリコール(無料の回収・修理)問題で経営難に陥ったためだ。

 負債総額は約1兆7000億円の見通しで、製造業では戦後最大の破綻となる。

 2008年に最初のリコールの届け出があってから約9年。この間、米国ではエアバッグの異常破裂で少なくとも11人が死亡し、日本でも負傷事故があった。リコール対象も全世界で1億台を超える見込みだ。

 被害がここまで広がったのは、自動車メーカーと責任を押し付け合ってきたからだ。仮に早い段階で欠陥を認め対策を講じていれば、多くの死傷者を出さずに済んだ可能性がある。

 米司法省は「欠陥を認めず不完全で不正確な情報を発信して何百万人もの米国民を危険にさらした」と批判している。

 リコールを繰り返しながら、問題を解決できなかったタカタの責任は極めて重い。

 タカタはエアバッグで世界シェアの約2割を占め、自動車メーカーの生産を左右する立場にある。「エアバッグだけが事故原因でない」と一貫して強気な姿勢を見せてきた。

 背景には経営陣の危機意識の薄さのほか、法令順守や消費者軽視の企業体質が見て取れる。タカタは企業統治が十分機能していなかったことを猛省すべきだ。

 オーナー経営の甘さも否めない。創業家出身の3代目である高田重久会長兼社長はほとんど会見を開かず、説明責任を果たす姿勢を欠いた。きのうの株主総会で、批判が相次いだのも無理はない。

 タカタは今後、中国企業傘下の米自動車部品会社に全ての事業を譲渡し、裁判所の管理下で再建を進める。

 ただ、シートベルトなども手掛ける世界有数の部品メーカーとしてのブランドは大きく傷つき、再生はいばらの道だ。信頼回復に向け、速やかに明確な再建計画を示すことが欠かせない。

 市場に大量に出回っている欠陥エアバッグの早期回収と、再発防止の徹底も急務だ。自動車メーカーと協力して取り組み、消費者の不安を解消しなければならない。

 タカタ問題は安心安全の観点で消費者を置き去りにすれば、企業の信用はすぐに低下することを教える。グローバル経済の下で、ものづくりをする日本企業全体の教訓としてとらえたい。