[核のごみマップ] 原子力見直しが先決だ
( 7/30 付 )

 国の原子力政策への信頼が揺らいでいる中で、どう進めようとするのか注視する必要がある。

 経済産業省は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分の候補になり得る地域を日本地図上に示した「科学的特性マップ」を公表した。

 火山や活断層が周囲にない適地は全国の都道府県に存在する。国土の約7割を占め、うち海岸から近く最適とされた地域のある自治体は全市区町村の過半数の約900が該当する。

 経産省は自治体名などを公表していないが、鹿児島県内で最適とされる地域が一定程度まとまって含まれるのは、南日本新聞社の集計で全43市町村のうち36市町村に上る。

 経産省は、自治体に受け入れ判断を求めるものではないと説明する。候補地として手を挙げる自治体を待つ一方、国からも複数の自治体に調査への協力を求めながら段階的に処分場の建設地を絞り込んでいく考えのようだ。

 核のごみが存在する以上、最終処分をどうするかの検討は避けて通れない。マップの公表をきっかけに国民的議論を喚起しようという国の狙いは理解できる。

 しかし、真に国民の理解を得ようとするなら、徹底的な原子力政策の見直しが欠かせない。なぜなら、処分場立地促進の目的は原発推進にあるからだ。

 福島第1原発事故後の「原発回帰」路線を転換し、再生可能エネルギーなど原発に頼らない社会に向けて中長期的な方針を明確に打ち出すことが先決である。

 脱原発にかじを切れば、国民の処分への姿勢も変わりうる。今の方針では過去の処分場選定の取り組み同様、地域社会の分断を招き計画が頓挫する可能性は高いと言わざるを得ない。

 最終処分は2000年に法律が制定された。地下300メートルより深い岩盤にガラス固化体として埋め、放射線量が低くなる数万年から約10万年先まで生活環境から隔離して処分するという考え方だ。

 適地とされた鹿児島県内の地質について、研究者からは「火山噴火や断層の知見が十分反映されず、科学的とはいえない」「活断層が潜む可能性を否定できない場所が多数あり、調査が進んでいない」といった指摘が出ている。

 そもそも万年単位の超長期間、安全に地層処分ができるのかどうかは誰にも分からない。

 国はまず、秋以降に最適とされた地域で重点的に説明会を開く段取りだ。候補地選定へ向けた調査への理解を広げる糸口になるのか第1の関門が待ち受ける。