[安保法成立2年] 冷静な議論今こそ必要
( 9/20 付 )

 自衛隊の活動を飛躍的に拡大させた安全保障関連法の成立から2年となった。

 北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射など挑発行為を繰り返し、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。

 見逃せないのは北朝鮮情勢に乗じるかのように、安保法の実績作りを重ねる政府の姿勢である。国民が知らぬ間に自衛隊と米軍の一体化が急速に進んでいる。

 まさに当初から懸念されていた事態が現実になりつつあるのではないか。

 今こそ憲法の平和主義の理念を踏まえ、安全保障政策や自衛隊の活動はどうあるべきかという冷静な議論が求められる。

 安保法は安倍政権が憲法解釈を一変させ、歴代内閣が禁じた集団的自衛権行使の容認や他国軍への後方支援拡大などを盛り込んだ。戦後の安保政策を大転換させ、憲法違反との批判は根強い。

 こうした中、安保法に基づく自衛隊の新任務が次々と運用段階に入っている。昨年は、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の派遣部隊に「駆け付け警護」の任務を付与した。

 先週には、海上自衛隊の補給艦が日本海で北朝鮮の弾道ミサイル防衛(BMD)に当たる米イージス艦に洋上給油していることが分かった。5月には海自の護衛艦が米補給艦を守る「武器等防護」の実施に踏み込んだ。

 問題は自衛隊と米軍の動向や運用の実態が全く公表されていないことだ。

 これでは法の運用が妥当かどうか、情報を持たない国民は判断できない。軍事的な緊張が高まれば、自衛隊隊員だけでなく国民のリスクも増すことになろう。

 菅義偉官房長官は安保法について、会見で「日米協力は非常にスムーズに行われ、抑止力強化につながっている」と述べた。

 確かに北朝鮮の脅威は深刻であり、日米協力は重要である、だが、前のめりになるのは危うい。

 小野寺五典防衛相は北朝鮮によるグアムへの弾道ミサイル発射計画を巡り、集団的自衛権の行使が可能な「存立危機事態」に該当する可能性があるとした。海自のイージス艦によるミサイル迎撃は法的に可能という考えだろう。

 北朝鮮をけん制する意図があるにせよ、迎撃は技術的に難しかろう。こうした議論は安保法の拡大解釈につながり、歯止めがきかなくなる恐れがある。

 専守防衛の国是を逸脱しかねない安保法への疑念は大きい。憲法9条改正論議の前に問題点をきちんと整理することが欠かせない。