枕崎市街地。肌寒い1月下旬の夕方、そろいのオレンジ色のジャンパーを着た若い女性の一団が自転車で駆け抜けた。
市内のかつお節工場で1日の仕事を終え、それぞれの寮に帰る中国人たちだ。ほとんどが20代前半。自転車の前かごには各工場を表す屋号のマーク。万一の事故の際、どこで働いているか知らせる意味もある。
鉄筋2階建ての専用の寮では、来日1年目の研修生60人が集団生活する。「今日は(かつお節の)削りを1日しました。力が足りないので大変です」。寮入り口の事務所で1人ずつ、その日の感想を報告するのが決まり。たどたどしい日本語だが表情は明るい。
「いつも元気よくあいさつしてくれる。今どきの若い人にはなかなかできません」。報告を聞く生活指導員の石川陽子さん(30)は感心する。
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| 寮に戻った中国人研修生。自転車のかごに付けたマークで受け入れ工場が分かる=1月23日、枕崎市 |
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中国人女性の身分は国の制度に基づき、3年間滞在する外国人研修・技能実習生だ。人手不足に悩む枕崎市の業界が受け入れに踏み切ったのは2001年。あっという間に定着し、業界に不可欠な存在になった。
今では市内の業者の7割近い42社で計270人ほどが働く。同市の20代人口は約2000人。中国人女性はその1割以上を占めるだけに目立つ。
彼女たちが枕崎を目指すのは高額な収入を得るため。生身の魚を扱う厳しい仕事だが人気が高い。「現地で希望者を集め面接するが、競争率は10倍を超える。日本の3年間での稼ぎは数百万円。中国なら家を建てることができる額だ。ほとんどの子が帰国土産にビデオカメラを買う」。事業主の1人がこう説明した。
枕崎と同様、かつお節工場が軒を並べる指宿市山川地区。中国人女性の実習生らは120人を超える。地元のスーパーや朝市での買い物は思わぬ経済効果をもたらしている。
「100人もいれば結構な額になる。自転車も新品を支給している。化粧品も売れるようになったそうだ」とかつお節業者の西雄生さん(34)。地区の運動会や祭りなどイベントに参加する姿もみられ「町が華やぎ、活気が出てきた」と喜ぶ声も聞かれる。
西さんは05年1月、実習生だった唐麗真さん(26)と国際結婚した。受け入れ期間中は交際が禁じられているため、いったん帰国した後にプロポーズした。
「山川では知っているだけで自分を含め5組。地域の人たちの彼女たちへの印象が良かったから理解されたと思う。それだけ身近な存在になっている」。長女唯衣ちゃん(1つ)を授かり家族も増えた。
中国人女性がかつお節産地に迎えられて7年。自転車で街を走る姿は周囲の風景にすっかりとけ込んでいる。3年間限定の“市民”だが、地域の過疎高齢化が進む中、その存在感は増している。






















