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'07/10/18 本紙掲載 
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新米記者の現場−第60回新聞週間に考える


■インタビュー

感動伝える困難さ痛感

出稿前のデスクとのやり取り。読者に感動を伝える難しさを痛感している
 目の前でバタバタと死んでいく赤ちゃん。小さな命一つ救うことができない。現地職員にも歓迎されず、病院に行きたくなかった−。聞けば聞くほど現場の壮絶さに打たれた。7月、夕刊のインタビュー連載で、青年海外協力隊員としてネパールに赴いた看護師の女性を取材したときのことだ。
 鹿児島市内の病院に勤める彼女は宿直明け。休みたい時間なのに嫌な顔一つせず話をしてくれた。「海外医療を経験して学んだ『命』の貴さ。多くの人に知ってほしい」。そんな気持ちを伝えたいと思った。現地の情景が頭に浮かび、簡単に文字にできると考えた。
 だが、書けない。「本物の感動を受けたはずなのに」。彼女の熱意や現地の雰囲気を表す言葉がどうしても見つからない。焦りながらパソコンに向かった。
 「聞いた話をただ並べただけ。感動や人柄が出てない。何を聞いてきたんだ」。ようやく仕上げた原稿をデスク(副部長)から突き返された。書き直すと「全然使い物にならん。もう1度話を聞け」。迫る締め切り日。実際に会う時間もなく、電話を掛け続けた。
 当日聞き漏らしたことを細かく尋ね、表現を変えて書き足す。それでもデスクの容赦ない質問は続く。「海外で得たものは何か」「命をどう考えているのか」。何度も電話した。激務に就く彼女にも迷惑をかけ続け、やるせなかった。
 日付が変わっても書き終わらない。「どうすればいいんだ」とデスクを恨んだ。何度書き直しただろう。先輩記者の助けを借りてようやく脱稿した。ほっとすると同時に、不安がよぎった。「本当に彼女の体験や気持ちを書けたのか」
 取材前、「インタビュー記事は聞いたことを、そのまま文章にすればいい」。そう勘違いしていた。感動を少しも伝えられない自分がいた。
 インタビューしたのは5人。ほかの4人の原稿も何度も書き直した。10回近く再取材した人からは、「頑張っている様子が分かるから、協力してあげたくなる」と逆に励まされ、恐縮した。
 その場の雰囲気から全部分かったつもりで、肝心なことを聞き忘れていたり、相手の言葉の意味を誤解していたり。未熟さを思い知らされた。人に話を聞いて文章にすることの難しさを知った。
 掲載日の翌朝早く携帯が鳴った。看護師の女性からだった。「ありがとう。素晴らしい記事でした」。うれしかった。やりがいを、初めて感じた。
(政経部・西田智裕=2007年入社)
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