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'07/10/20 本紙掲載 
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新米記者の現場−第60回新聞週間に考える


■現場を撮る

「1枚」で驚きと感動を

力走する選手に沿道も盛り上がる鹿児島県下一周駅伝大会。レンズを通して興奮や熱気を伝えたい
 入社1年目の鹿児島県下一周駅伝大会のこと。大きく揺れる取材車から超望遠レンズでレースを狙う初めての体験をした。カメラがぶれ、ファインダーから選手が何度も消えた。頭の中が真っ白になりながらも、トップの入れ替わる一部始終を撮影した。レース後、その場面が翌日の朝刊スポーツ面のメーンになると知ったが、ピントがちゃんと合い、フレームに納まっていたのは、たったの1枚だけだった。
 「何のために撮影するか考えろ。現場を見られない読者のかわりに撮るのが君の仕事だ」と本社のデスク(副部長)に電話口で怒られた。うまく撮れなかった悔しさをかみしめながら、新聞カメラマンの仕事の意味を考えさせられた。
 2年目の2006年7月、加治木町で国道10号沿いの斜面に亀裂が見つかり現場に走った。避難所で早速、「撮ってもいいですか、顔が写っても大丈夫ですか」と断りを入れたが、返ってきた言葉は「そうやっていちいち許可をとられる方がいやだと思わないのか。みんな疲れているから、撮るなら早く撮ってくれ」だった。写真を撮らなければという焦りから、肖像権やプライバシーの問題ばかりが先に立ち、相手の置かれた状況や不安な気持ちに思いをめぐらす余裕がなかった。写真を撮る前に、まず話を聞かなければならなかったのだと思う。
 取材先に一眼レフカメラを首から提げ、脚立やレンズ一式の入ったバッグを担いでいくと、「写真やカメラがもともと好きだったんですか」とよく尋ねられる。しかし、もともとはペン記者志望。完全に想定外だった写真部に配属と聞かされて、「自分でいいのか、できるのか」と不安だった。まともにカメラを扱ったことはそれまでなかった。
 1年目はがむしゃらに、2年目は言われたことは何とかこなした。3年目になった今、自分なりに考えて撮ることができるようになったと思うが、独り立ちはまだまだだ。
 取材現場では、自分の判断がすべてだ。ファインダーをのぞき、構図を決め、ピントを合わせる。刻一刻と変わる状況に、ちゅうちょしている間などなく、シャッターを切る。だが、いくら数多く撮っても、現場を的確に押さえ、狙い通りのものが撮れなければ意味がない−と学んだ。
 カメラマンは現場での驚き、感動、疑問を1枚で読者に伝えなければならない。「1枚の写真は100行の記事にも勝る」。入社したころに何度となく聞かされた言葉の意味が徐々にわかり始めてきた。同時にその難しさ、重みを痛感する。読者を記事へと引き込むことのできる写真を撮れるよう努力したい。
(写真部・福留梓=2005年入社)
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