'06/02/03 本紙掲載
空中給油機岩国移駐要求

鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地へ米海兵隊普天間飛行場(沖縄県)の空中給油機部隊を移駐させる計画について、米側が一転、移駐先を米軍岩国飛行場(山口県)に変更するよう求めている。日米の「合意事項」を揺るがせる背景には、米政府と軍の事前調整不足があるとみられ、在日米軍再編協議の行方は不透明さを増してきた。
(東京支社・三輪住雄)
| 関係者によると、海兵隊など軍側が米政府に移駐先の変更を求めたのは昨年12月。日米両政府が10月末に「移駐先として鹿屋基地を優先して検討」とする再編案に合意したのを受け、米政府が軍関係者から意見聴取した際に表面化した。 日米は今年1月下旬、外務防衛審議官級協議を開催。席上、米側は日本に「海兵隊が岩国移駐を望んでいる」と伝えた。 変更を求めた理由は明らかではないが、機能を岩国に集約させたい軍の意向や、鹿屋の交通基盤や福利厚生施設の未整備が理由とみられる。 ■飛行場の陰 移駐先変更要求について、日本政府内には「給油機移駐は普天間飛行場本体の移設問題の陰に隠れ、米政府と軍が十分協議してこなかったからだ」との見方がある。
ところが飛行場という「ハード」の移設交渉が難航し、日米はすべての再編案に合意する直前まで協議。その結果、給油機部隊という「機能」についての日米間の詰めの作業が遅れ、米内部の調整不足につながったというわけだ。 結局、鹿屋移駐案は「米が興味を持っているのは事実だが、米側の詳細な検討は進んでいない」(当時の防衛庁担当者)状態のまま再編案に盛り込まれた。合意文書に「優先して検討」というあいまいな表現が使われたのはこのためだ。 海兵隊は、飛行場については運用上の要望を積極的に米政府に伝えた。しかし、給油機移駐計画は政府主導で協議され、海兵隊は蚊帳(かや)の外に置かれた格好。 移駐に向けた具体案を協議する今になって、現場の“本音”が不満となって表れたというのが実情のようだ。 日本政府関係者は「米側の調整が難航しているのは事実。再編の実務責任者である国防副次官が海兵隊の要望や主張を抑え切れなくなっている」と認める。 ■説明責任 日本政府は給油機の移駐先見直しが再編協議全体に波及することを懸念する。沖縄や神奈川県などが関係する一連の再編案を「一つのパッケージ」と考えるからだ。 防衛庁幹部は「鹿屋移駐が揺らぐと、岩国の不満が噴き出し、普天間移設にも飛び火する可能性がある」とみる。 別の幹部は「現在の再編案は日米両政府が合意した最終的なもの」と強調。「海兵隊の要望は米側の総意ではない」と火消しに躍起だ。 日米は3月をめどに再編案に最終合意する予定だが、米政府が海兵隊を説得するのか、合意文書の変更があるのかなど先行きは見えてこない。 政府は合意に至った経緯や米側が本当に鹿屋移駐を望んでいるのかを地元に説明する責任がある。米側が引き続き岩国移駐を求めても、政府が鹿屋移駐を強行するようなら、地元の「理解と協力」を得るのは難しい。 |











