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''06/07/04 本紙掲載 
普天間鹿屋のいま
(6) 基地負担

苦悩する「安保の現場」

 在日米軍再編に明記された海上自衛隊鹿屋航空基地での米軍空中給油機訓練に、鹿屋市は「地域の総意として断固反対」と表明した。「将来の基地負担の増大が懸念される」「なし崩し的に運用が拡大されるのでは」。山下栄市長の言葉には、政府と米軍への不信感がのぞく。
 協議は「外交・防衛は国の専管事項だ」とばかりに地元の頭越しに進められ、基地が集中する沖縄県さえかやの外に置かれた。
 伊藤祐一郎鹿児島県知事は6月議会で、再編計画実施には鹿屋市の合意が必要と強調。「国が市と十分協議することを期待する」と答弁した。
 2005年10月の中間報告で、空中給油機部隊の移駐先は「鹿屋を優先して検討」とされた。ところが最終報告は、効率性を重視する米側の意向で、隊員の生活環境が整っている岩国基地(山口県)に変更。10年前の「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」合意に戻った格好だ。
 鹿屋が部隊の拠点ではなく訓練先になったのは、鹿屋市が繰り返した移駐撤回の訴えが考慮されたからではない。
 むしろ、抑止力維持と基地負担軽減という半ば矛盾する再編にあって、米軍が鹿屋を都合よく使える点に価値を認めたからだ。空母艦載機移転が計画される岩国の負担を減らす意味合いもある。
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海上自衛隊鹿屋航空基地の開隊52周年式典で顔をそろえた山下栄鹿屋市長、森山裕衆院議員、伊藤祐一郎鹿児島県知事(中央手前から)=5月27日
 宜野湾市基地渉外課は、普天間飛行場など米軍施設に関する対外窓口。2005年度、市に寄せられた騒音などの苦情は、夜間・休日の「基地被害110番」を含め109件。飛行ルート情報や危険な低空飛行の映像を市民に提供してもらう「基地監視ボランティア」も担当し、市民ら約120人の協力を得ている。
 市は基地立地で交付金という「見返り」を受ける一方、特異な業務を強いられてきた。
 05年度は抗議文を65回、基地司令官あてにファクスしたが、なしのつぶて。同課は「何度言っても聞き入れられない怒りはある」というが、「いつも見ているぞと伝えることが大事」。
 沖縄県は日米地位協定の抜本的見直しや基地の整理縮小を求めてきた。府本禮司基地防災統括監は「防衛施設庁や米軍にしつこく言うしかない。なかなか目に見える改善はないが、地元の実情を訴え続けない限り変わらない」。長年基地政策に携わってきた実感だ。
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地位協定は在日米軍基地の管理権や容疑者の身柄引き渡しなどで不平等性が指摘され、基地問題の根源ともいわれる。だが、政府の対応は解釈変更による「運用の改善」にとどまり、改定には消極的。「地位協定は米軍基地がない地域では現実的な議論にならない。国の解釈と沖縄の市民感覚の差もなかなか縮まらない」と府本統括監。
 再編をめぐっては、受け入れを迫る政府と反発する自治体という構図にとどまらず、自治体内での不協和音も生んだ。鹿屋市でも経済効果を見込んだ容認論があるように、各地で市民の意見対立が表面化している。
 長年、普天間飛行場の危険と隣り合わせの宜野湾市でさえ、基地返還の主張に対しては、地主や基地で職を得た人に不満、不安は大きい。山内繁雄基地政策部次長は「家族内のいさかいも聞く。なぜ基地のためにけんかしなければならないのか。残念でならない」と話す。
 在日米軍受け入れによる地元の負担は騒音や事故の危険にとどまらない。「安保の現場」に組み込まれる鹿屋は、出口の見えない不安や苦悩に直面しかねない。
=おわり=

(この連載は社会部・伊東昌樹、鹿屋総局・山崎省吾、種子島時大が担当しました)

ズーム日米地位協定
日米安保条約に基づき、米軍とその構成員の地位などを定める。1960年発効。基地の運営や管理などの権利はすべて米側が持ち、返還の際は原状回復の必要はないとされる。米兵容疑者については起訴前までは米側が拘束し、起訴後日本側に引き渡すのが原則。しかし、95年の少女暴行事件を機に、凶悪犯罪は起訴前の引き渡しに米側が「好意的考慮を払う」と運用改善された。

鹿屋米軍移転計画 Index
 
 
 
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