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'07/09/01 本紙掲載 
若年層の新聞離れ
役立ち楽しい紙面を 朝日氏
迎合せず品格を保て 山崎氏
「新鮮づくり」続けよ 大嵩氏

 朝日委員 学生たちは「テレビやインターネットで情報が手に入るのに、新聞にお金をかけることはない」と考えている。どうやって読ませるのか、難しい問題。
 若年層が新聞を読む目的は受験や就職対策であり、社会的発達のためではない。親も、子どもが新聞を読んで反戦活動に参加したりするのではなく、企業社会に適応するような成長を求めている側面がある。新聞離れが進む社会的構造を分析しないと、本質的な改革はできない。
 新聞離れ対策の柱は、青年に“御利益”がある紙面を作ることだ。単にニュースを流すだけであれば、テレビやインターネットで済む。情報を処理して、それを読むことでメリットを実感できる紙面であることだ。
 少年向けの「こども新聞」は読んで楽しいが、青年向け紙面は、社会的発達にふさわしいのか疑問。新聞は性の悩みや親からの自立、進路、社会的不正への怒りなど、青年期に必然的に経験する苦悩に対し、考えて解決に導くような材料を十分に提供できていない。
 「新聞を読まなければダメ」という規範を押しつけても失敗する。御利益があり、読んで楽しいという紙面を作らないといけない。何を知りたいのか、何が御利益か知ることが必要。
 例えば、人生のあり方を考えるような企画や、労働条件や消費者被害など、適切な相談相手、基本的な考え方を示すだけで多くの青年がトラブルから解放される企画もあっていい。紙面を通じた青年同士の交流など、青年同士の連帯や交流を支えたり、創作意欲や批判的精神を高揚させる企画もあっていい。キャンパスウエーブは試行錯誤だが、可能性はある。大学生の声だけでなく、勤労青年などの層の声も反映できる企画もほしい。

 山崎委員 インターネットは、いろんな最新情報が手に入るうえ、写真も動画も取り込める。携帯電話でも情報が手に入るようになり、「新聞を読まなくても世の中の流れはわかる」「情報はタダ」が常識となりつつある気配を感じる。
 一方で、インターネットはいくらでも情報にアクセスできるが、情報の質がわからなくなる危険もはらむ。新聞には情報の質が保証されている安心感がある。読みたい記事だけでなく、まわりの記事まで目を移すことができるというメリットもある。
 ニューヨーク・タイムズでは、新聞紙面は報道に徹して、NIE(エヌアイイー)はウェブサイトでやっている。前日の記事を基に、教師用、生徒用が毎日用意されており非常に丁寧。南日本新聞も、紙面の報道と、ウェブでのNIEをやってみてはどうか。
 「こども新聞」は面白い。地方新聞の良さを生かして、いろんな人を取り上げていくことが強みになる。キャンパスウエーブは楽しいが、印象としては壁新聞。あまり若者に迎合する必要はない。新聞の品格、質を維持してほしい。月1回では定期購読してもらいにくいので、もっと回数が必要だ。
 英語圏の人と話をするとき、食事やファッションの話題だけでなく、「安倍政権をどう思うか」「第二次世界大戦をどう考えているか」といった話題は一般的だ。国際人になるための情報源となるような若者向けの新聞記事が増えてきてもよい。

 大嵩委員 若者の活字離れは、今に始まった話ではない。情報社会の中で、テレビ、パソコン、携帯などの文明の利器に対して、新聞は「遅い」「難解」「生活スタイルに合わない」となってしまった。
 若者に最も信頼できる情報源は何かと聞くと、新聞と答える。にもかかわらず読まない。社会の動きへの反応が鈍化して、「人は人、自分は自分」という考えがまん延してしまう。凶悪な少年犯罪やいじめ、引きこもりなどと、決して無縁ではないだろう。
 「こども新聞」は子どもに代弁させると、「カラーで楽しい」「勉強になるから読んでいる」「パパとママも面白がって読んでいるよ」となるだろう。今の編集方針を継続してほしい。一方、キャンパスウエーブを若者に代弁させると、「カラーにしてはちょっとダサイ」「あまり面白くない」「編集内容が軽すぎる」という意見が返ってきそうな気がする。
 新聞離れ防止に提言させてもらう。なぜ、どうしてを平易な文章で分かりやすく書き、見出しは一目瞭然(りょうぜん)にして誤解を招く表現は避ける。同じ内容の記事は極力1つの面にまとめる。もっと図表など駆使して、美しい紙面作りを心掛ける。ぎっしり記事で詰めない。NIE活動の積極的な活用として、学校現場への記者の派遣や、新聞業界独自の企画はできないか。
 新聞情報の2大特性は一覧性と、立体的な思考構築の養成。速さでは電波に負けるが、確認、確証では新聞に勝るものはない。8月17日の朝刊で、天文館の写真が大きく載っていた。あの紙面はとても興味を引いた。こういうチャレンジは今後も続けてほしい。新聞は焦らず、騒がず、惑わされずに、日々新鮮づくりへの努力を続けていけばいいのではないか。
 社屋移転を機に、社屋のセキュリティーが徹底し気軽に足を運べなくなったとの声を聞く。記者たちでさえサラリーマン化しているかにみえる。昔の自由闊達(かったつ)な雰囲気が失われてしまったのではないか。新聞社離れが新聞離れになってしまっては身もふたもない。

 海江田由加編集委員 新聞を読まなくなった大学生や若者に「難しい」「読みにくい」といった声がある。読まずにつまらないものと思いこんでいるので、まず手に取ってもらうための企画としてキャンパスウエーブを作った。迎合するつもりはないが、まずは新聞の入り口。10月からは月2回に増やすので、硬軟取り交ぜて、内容も充実させていきたい。

 杉原洋報道本部長 取りあえず紙面に触れてもらうのがキャンパスウエーブの大きな狙い。徐々にグレードアップしていきたい。若者が印刷媒体から離れているのは間違いない。携帯電話が若者の主流のメディアになっているので、理解するためにもケータイ語の分析など、もっと研究も進めていきたい。

6月からスタートした「南日本こども新聞」と「キャンパスウエーブ」
 若年層の新聞離れが叫ばれて久しい。背景には活字離れや、インターネットや携帯電話など、電子媒体の普及などがあるとされている。南日本新聞は、若者に新聞を手にとってもらおうと6月から、小学生高学年向けのページ「南日本こども新聞」と、大学生のためのページ「キャンパスウエーブ」を始めた。
 こども新聞は、ニュースをわかりやすく解説する「ニュースなぜなに」や寄せられた疑問、質問に専門家が答える「何でも質問隊」などのほか、学校の話題などの内容。文字も普通の紙面より一回り大きくして、小学4年生で習う漢字を基準に、難しい漢字には振り仮名をふるなどしたほか、イラストなどを多く使い、子どもが読みやすい紙面を目指している。
 キャンパスウエーブは、学生記者による、街や学内の話題のリポートのほか、就職活動体験を紹介する「就活ワタシの失敗」など、学生たちの“情報の波(ウエーブ)”をとらえる紙面を目指している。学生が写真で登場したり、メールで投稿するなど、読んでも眺めても、参加しても楽しい双方向紙面を目指している。

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