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'07/12/11 本紙掲載 
まちづくり、地域医療をテーマに意見交換した第20回「読者と報道」委員会=11月27日、鹿児島市の南日本新聞会館

まちづくり
市民と考える紙面を 山崎氏
夢を語り一石投じて 大嵩氏
景観計画の議論必要 朝日氏

 山崎美智子委員 仕事柄、外国の方を案内する機会が多いが、私自身、鹿児島のイメージがよく分からなくなっている。鹿児島湾に面した港町であるのに、神戸や横浜のようなイメージを持つ人はほとんどいない。鹿児島市が進める景観計画づくりに関連した報道を読んでいて、どれだけの人がまちへの愛着を持って参画しているのかという疑念が生まれた。
 鹿児島市の景観計画・条例策定の計画づくりを進めた「景観まちづくり委員会」は、2006年の12月に第1回が開かれ、ほぼ1年後の先日、景観についての案をまとめた。全国の地方自治体で景観保護を目的とした建築物の高さや外壁の色、広告物を規制する動きが広がったのは今年初めからだ。それに伴って景観トラブルも相次いで起こり、それらを報道していた新聞もあった。桜島を中心とした鹿児島の景観計画を紹介するだけでなく、市民と一緒に考えるための紙面づくりの方向性もあってよかったのではないかと思った。
 イオン鹿児島SCのような大型商業施設が進出してきたことで旧市街地が受けたダメージは非常によくまとめてあった。山形屋と三越の連携が象徴するように危機感をバネに頑張る地元経済界の姿を取り上げたり、「このまちが好きだから」と活性化に取り組む住民たちの活躍が随所にみられた点も好感が持てた。
 ただ、もう少し「まちづくり」という観点に立ったシリーズがあってもよかった。新聞社が「まち」としての方向性というか、グランドデザインのようなものを提言できればいいと思う。

 大嵩文雄委員
 デパートを中心とする天文館地区、アミュプラザを軸とする鹿児島中央駅地区、イオン鹿児島SCなど大型商業施設を核とする南部地区という商圏3極化は、鹿児島市にとって大事件だった。一連の報道では、予想以上の“大型台風”に出くわした地域の様子が克明に報告されていたし、(新聞が)イオン進出に触発されたまちづくりに貢献したことは評価できる。これからも100年の計に立ったまちづくりの手伝いをもっとしてもらいたい。
 一方で単なる情勢報告に終わっているとの印象も受けた。消費者を引き寄せるだけで「まちづくり」といえるのかという疑問がわいたことも否めない。モノ至上主義から遠ざかろうという風潮の中、まるで新しい星が生まれたかのような騒ぎ方は好ましくない。その意味でもっと違う切り込みがほしかった。
 商圏だけが「まち」ではないし、行政頼みだけでも「まち」はできない。まちづくりは住民のエネルギーが核となるべきで、それを手伝うのが新聞の仕事といえる。例え実現不可能だとしても、夢を語ることで紙面が明るくなる。読者に向けて積極的に小石を投げ入れることもメディアの重要な使命だろう。

 朝日吉太郎委員
 鹿児島市が進める景観計画についてだが、市の素案は鹿児島固有の景観保持に重点を置いている。南日本新聞も主に桜島の眺望に焦点を当てて報道していたが、その中で「景観の共有財産化が必要」という論点が明確になった点が興味深かった。
 景観計画は鹿児島市の将来デザインを決定してしまうだけに、この論点をめぐる合意形成が不十分なままだと、公共性と私権の対立が深刻化する可能性がある。新聞は今後も「夢のある鹿児島市をどうつくるのか」という議論をリードしてほしい。
 イオン鹿児島SC進出についての一連の報道からは「“黒船”到来が発想の転換を生み、地域を活性化させる効果がある」というポジティブ思考で事態をとらえようとしているように受け取れた。これはこれでいいが、このとらえ方では「天文館、中央駅、南部地区の3拠点が共存を探ればいい」という論調になってしまう。
 3拠点共存による相乗効果がないとはいわないが、地元消費力が落ちている現状では、むしろ勝ち組、負け組の格差が大きくなるのではないか。谷山、宇宿地区を含め、3拠点以外の地域への影響をもっと取材してもよかった。こうした地域への活性化策提言なども必要だろう。

 堀之内宏光地域報道部長
 鹿児島らしいまちづくりを進めるため、私たちがもう少し意見を挟んでいく必要性を感じている。主役は市民だ。次代をにらみ、どんなまちにするか市民の合意形成づくりに努力していきたい。

 木脇良知政経部長 
鹿児島の経済界にとっての大変革にあたるという認識で報道にあたってきた。イオン鹿児島SC開業の時期と合わせ、天文館や中央駅周辺、宇宿地区などの取り組みも個々に紹介してきたつもりだが、もう少し提言を交えた体系的な報道を心がけたい。

鹿児島市の景観計画案に示された視点場付近(城山展望台)から見た桜島=鹿児島市城山町
 2006年9月の「スクエアモール鹿児島宇宿」を皮切りに、鹿児島市南部地区では大型商業施設の出店が相次いだ。07年10月には、県内最大の売り場面積を誇る「イオン鹿児島ショッピングセンター(SC)」がオープンし、天文館を核としてきた商業地図は大きく塗り替えられた。
 イオン鹿児島SCという“黒船”の到来に対し、天文館ではデパートや通り会、町内会などが「We Love 天文館協議会」を結成。鹿児島中央駅地区でも、県内企業による再開発計画が浮上するなど、3極化した商圏間競争は激しさを増している。
 一方、鹿児島市は来年6月の実施を目指し、景観法に基づく景観計画・条例の策定作業を進めている。7月に示された素案は「桜島の眺望確保」を第1の課題に掲げており、建築物の高さなどへの規制が盛り込まれた。これに対し、岩崎グループが「私権を侵害するもので違法」と主張するなど、規制に慎重な意見もある。
 南日本新聞は06年から年間企画「競争の波」などで大変革期にさらされた鹿児島経済界の姿を報道。イオン鹿児島SC開業前後には政経部、地域報道部に合同取材班を設けて連載「街が変わる」「人が動いた」を展開した。鹿児島市の景観計画では、有識者でつくる「景観まちづくり委員会」での論議や市民の声を中心に取材。県都版の企画「ここが知りたい」で計画概要や課題を取り上げるなど、読者に判断材料を提供してきた。

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