2013/07/2 本紙掲載 

川内g原発/再稼働の行方

マイナス25億円 / 「経済疲弊、もう限界」
 「高い基準・審査をクリアすれば、安全・安心を第一に再稼働していただきたい」。原子力規制委員会が規制基準を正式決定した6月19日、薩摩川内市の岩切秀雄市長は、あらためて川内原発再稼働に前向きな姿勢を示した。
再稼働の行方が注目される川内原子力発電所=薩摩川内市久見崎町
 九州電力は、7月8日の基準施行と同時に川内原発の審査を申請する意向だが、審査の順番や期間は不透明。岩切市長は、少なくとも半年程度との見方がある審査期間を踏まえ「しっかり(審査)してほしい」と話す一方、地元の経済状況を「かなり厳しい状況に追い込まれている」と不安を隠せなかった。
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 川内原発では、申請に向けた安全対策工事が急ピッチで進んでいる。従事するのは協力会社の作業員約2000人。宿泊や飲食、交通など、地域経済へにわかに“安全対策活気”が生まれている。
 同市内のタクシー運転手(62)は「駅から原発まで片道4000円。工事があるときは1日1万円近く売り上げが違う」と明かす。原発への送迎と並行して、夜の飲食街での利用も増えており「工事期間はボーナスのようなもの。定期点検が復活しなければ、また生活は苦しくなる」。
 原発から配管のメンテナンスなどを孫請けで受注する中間則行さん(39)は、稼働停止後仕事が減り、県内一円に営業範囲を広げてしのいできた。
 中間さんが理事長を務める川内青年会議所メンバーへのアンケートでは、回答した約8割が原発に関係した仕事であると答え、そのほとんどが稼働停止で影響が出たと答えた。「それぞれが少しずつ生活レベルを落とし、まちの活気が失われている」と嘆いた。
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 「川内原発は30年近く(地域経済に)組み込まれてきた。審査が半年もかかるのは長すぎる」。川内商工会議所の田中憲夫会頭は、地域経済の疲弊を念頭に口を開いた。
 5月には全国原子力立地市町村商工団体協議会の会長に就任。基準施行後に他の商工団体と連携して、国に原発の早期再稼働を陳情する予定だ。
 川内原発常駐の九電社員は約300人。これに稼働時約750人、定期検査時約2千~2500人の協力会社社員が加わる。同商議所の試算によると、川内原発の経済効果は1基の定期検査で約6億円、年間2基の定検と稼働で約25億円だ。
 「そのお金がそのままマイナスになり、地域経済はかなり疲弊し限界にきている。第1陣の審査対象に入って、一日も早く再稼働をしてほしい」