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シマを感じる郷土料理~鶏飯、油ぞうめん、シマ唄~

author: しらはま ゆみこ(更新日:2012年11月8日)

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彩りも美しく味わい深い、しかも栄養満点。奄美のグルメで外すことはできない鶏飯【提供/奄美群島広域事務組合】

なにはともあれ、まず鶏飯

奄美大島に移り住んで9年目。沖縄ではない、情報の少ない南の島という物珍しさもあってか、ありがたいことに毎年友だちがほうぼうから遊びに来てくれる。たいがいは初めての奄美。9月には大分からMちゃん(30代前半女子)が遊びに来てくれた。何をして遊ぶかなど好みを聞きながら、私なりに旅の行程を組んでいく。マングローブでカヌー、“ハブと愛まショー”、海岸で貝殻拾い、集落をぶらぶら‥など。なかでも「どこで何を食べるか」を考えるのは、悩ましくもあり、とても楽しい作業だ。短い日程の中で、奄美のおいしいものをなるべく多く味わってもらって、奄美を感じ取ってもらいたい。見知らぬ街を旅する時に、その土地ならではのものを味わうことは、旅の楽しみであり、街を身近に感じられる一番いい方法ではないかと思う。食を通して、生活や文化、歴史をかいま見ることができるからだ。

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それぞれの店でこだわりのスープや具の違いを楽しめる【提供/奄美リゾートばしゃ山村】

Mちゃんが奄美に到着して重要な第1食目は、やっぱり郷土料理「鶏飯(けいはん)」。鶏飯はご飯の上に、細かくさいた鶏肉・錦糸卵・椎茸・パパイヤの漬け物、乾燥させたタンカンの皮などをのせ、鶏でとった熱々スープをかけて食べる。ご飯少なめ、スープたっぷりが美味しく食べるコツ。鶏のスープは透き通った黄金色で美しく輝き、旨味たっぷり、栄養満点。お茶漬けのようなさらさらとした食感で箸が進むから、Mちゃんも「おいしい!」と軽くご飯2杯いっていた。私は3杯‥。鶏飯は、江戸時代に薩摩藩の役人をもてなすために、奄美の北部・笠利でうまれた料理と言われている。鹿児島県の学校給食でも出され人気ナンバーワンになったこともあるというから、鹿児島本土でもだんだんと知られてきているのかもしれないが、ぜひ奄美で味わってほしい。専門店で有名なのは奄美市笠利町「みなとや」、龍郷町「ひさ倉」。最近では居酒屋でも鶏飯を出すところも増えており、それぞれスープの味も違うので食べ比べするのも面白い。




奄美モズクの収穫風景

奄美は自然の恵みが詰まった食材の宝庫。清らかな海で育った奄美のもずくは、その太さと食感でファンも多い【撮影/犬塚 政志】

旬の島素材がたっぷり、奄美の家庭料理

鶏飯が、もてなしの郷土料理だとしたら、奄美の人たちがふだん食べている味も知ってほしい。そこで夜にMちゃんを連れて行ったのは、奄美市名瀬の「郷土料理 かずみ」。女将の西 和美さんは、奄美民謡大賞大会で大賞受賞経験もあり、CDも出しているシマ唄の代表的存在。みんなから親しみをこめて「かずみ姉ぇ(ねぇ)」と呼ばれ、この店は唄好きのシマッチュが集まる唄アシビ(遊び)の場。和美さんの生のシマ唄が聴けるのはもちろん、なにより旬の野菜や魚など島の素材をたっぷりと使った家庭料理を味わえるのが魅力だ。メニューはおまかせコース料理で、その日どんな食材に出会えるかも楽しみの一つ。シビ(キハダマグロ)の刺身、モズクの酢の物(島のモズクは太い!)、シャキシャキした食感がたまらない芋蔓の炒め物、豚骨とツワブキなど島野菜の煮物、ニガウリと豚肉の粒味噌炒め、魚の唐揚げ、サクサクのアオサの天ぷらなどなど。いつも「もう食べられない!」というぐらい次々と出てくる。どれも素朴な島の素材を使っていて、なぜか懐かしい気分にさせられる味。

油ぞうめん

奄美家庭料理の定番・油ぞうめん【提供/奄美群島広域事務組合】

Mちゃんが特に気に入ってくれたのが「油ぞうめん」だ。私も大好きな一品。油ぞうめんは簡単に言うと、炒めそうめん。具材は、ニラ、キャベツ、ニンジン、豚肉などに旬の野菜が加わることも。和美さんは自家製の塩漬け豚肉を使っていて、これが炒めた野菜から出た水分と合わさっていいダシ汁となり、そうめんによく絡んで美味しい。

油ぞうめんは、昔から農作業などのユイワク(共同作業)や、祭りなど人が集まる時に作られてきた料理。島の人は、今でもそうめんを常備しておいて、不意のお客さんでも冷蔵庫にある野菜でパパッと作る。油ぞうめんこそ、島の家庭の味かもしれない。味噌汁のようそれぞれでダシや具材が違うから、味も違ってくる。島ではそうめんと言えば、一年中食べる油ぞうめんなのだ。




宴

人が集まればご馳走を囲んで語らい、歌い、踊る。奄美は訪れた人の心をほぐす不思議な島【提供/奄美大島観光協会】

人が集まれば、唄って踊って楽しんで

珍しい料理を次々と堪能し、黒糖焼酎でみんながいい気分になってきた頃、誰かが三味線を弾きはじめる。宴会などで一番最初に必ず歌われるシマ唄「朝花節(あさばなぶし)」でスタートだ。和美さんは、時に炒め物をしながら厨房のなかでそのまま歌い出す。料理しながらの気軽さなのに、その圧倒的な声量と表現力のギャップに初めてのお客さんは驚き、そして、ぐいぐいと引き込まれていく。シマ唄は歴史や教訓、仕事、恋愛の唄などさまざま。Mちゃんも奄美のシマグチ(集落の言葉)なので歌詞の意味は分からなくとも、その哀愁をおびた声、喜びや悲しみなどいろいろな表情を感じ取っていたようで、こっそり涙していた。時には、アップテンポの曲に合わせて、奄美の太鼓チヂンを店内のみんなで順番に叩かせてもらったり、三味線の弾き方を教えてもらったり。宴会などの締めとして歌われる六調(ろくちょう)の激しいリズムに合わせて、阿波踊りのように手をヒラヒラさせながら踊ったり。店内の観光客、シマッチュ問わず総立ちになって、一体となって踊り、とにかく楽しく盛り上がれるのだ。

観光では、なかなか島のふだんの様子を見ることはできない。それでもこの「かずみ」に来ると、島のおかあさんが温かい料理をいっぱい作って待っていてくれて、シマ唄を歌い出せば、一緒に楽しんで。狭く細長い店内では、隣の見知らぬお客さん同士でもいつの間にか話が始まり、踊った後にはみんな笑顔になっていく。奄美の家庭料理、シマ唄、そしてシマッチュ。「かずみ」の夜は、島の日常、ディープな雰囲気にいっぺんに触れられ、記憶に残る奄美の一夜となってくれる。 Mちゃんは、「親戚の家におよばれして、もてなされた感じです!」と本当に喜んでくれた。私にとっては、これが何よりも嬉しい言葉だった。(了)




しらはま ゆみこしらはまゆみこ

奄美大島在住、島ライター。 埼玉&大分育ち。大分でタウン誌の編集者として勤務してた時に、奄美へ転勤した友だちを訪ね初来島。気づけばその人と結婚し、2003年12月移住。島でも雑誌やガイドブックのライターをしたり、町役場で働いたこともあり。

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奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介

森田ケーサクさんあまみんちゅ[no.6]
森田ケーサクさん(DOESドラムス)

人気アニメ「宇宙兄弟」のオープニングテーマ曲にもなっている新曲『夢見る世界』(発売中。右:ジャケット)をはじめ、日本語の美しい響きと躍動感あふれるメロディが織り成す世界観で、今注目のロックバンドDOES(ドーズ)。夢見る世界奄美市出身の森田ケーサクさんは、ドラムス&コーラスを担当する。

「宇宙兄弟のオープニングテーマの話をいただいたときは、種子島宇宙センターのある鹿児島県の出身者として、少し高ぶるものがありましたね」とうれしそうに語る。「『夢見る世界』が描き出す壮大さとエモーショナルなイメージはDOESの新しい境地なんです」

れんと

12月に行われる「DOES TOUR 2012ツアー」やフェスなど、ますます忙しく活躍の場を広げていくが、やはり故郷・奄美は心の支えだという。「地元の友達と島口(方言)で語って飲む。すると、いろんなものがリセットされて新しいパワーが充填されます」。昔からよく飲んでいるのが黒糖焼酎れんと(奄美大島開運酒造)で、仲間やスタッフへのお土産にもしているんだそう。「奄美の癒しパワーのおすそ分けなんです」(2012年11月22日)

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DATA

奄美大島開運酒造

  • [住所]鹿児島県大島郡宇検村湯湾2924-2
  • [TEL]0997-67-2753
  • [蔵元見学&試飲]黒糖作りが盛んになる12月~1月頃は、黒糖製造から焼酎製造の一連の見学ができます
  • [見学時間]9時/11時/13時半/15時半
  • [定休]日曜・祝日
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