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奄美で一番ぜいたくな旅

author: 奄美のトラさん こと 花井恒三(更新日:2013年6月13日)

大島海峡

高台から大島海峡を望む。高い透明度と比較的浅い水深により、美しいサンゴ礁を楽しむことができる【提供:瀬戸内町観光協会】

大島海峡クルーズ

私の奄美旅案内は、一泊目を中心地の奄美市名瀬にしない。一泊目は、奄美大島の「奥座敷」である加計呂麻島、または、さらに「大奥」の与路島・請島にする。名瀬は後まわしだ。大都市の喧騒から飛び出してきた旅人には、まず、その対極にある静かに悠々とした時が流れる島々の佇まいを感じてほしいからだ。たいていの人は、カルチャーショックや大きなインパクトを受ける。

奄美大島は、比較文化において、日本・鹿児島・沖縄の昔を残していると言われる。そのなかにあって、奄美大島の昔が加計呂麻島に、加計呂麻島の昔が与路島・請島にあり、それが「奥座敷」や「大奥」という表現を生んでいる。

さて、私の推奨する「奄美で一番ぜいたくな旅」は、奄美本島と加計呂麻島の間を流れる大島海峡が舞台だ。大島海峡は長さ22㎞ほど、幅4㎞ほどで、国内屈指の海峡である。奄美で一番ぜいたくな旅の一つ目は、大島海峡の3時間クルーズだ。海上タクシー(貸し切り遊漁船・定員12名のものが多い)を3時間チャーターすると、およそ3万円(更新日現在)。10人で乗れば、一人当たり3,000円ほどで、クルーズを楽しむことができる。

このクルーズは実に楽しい。遊漁船ならではの絶好ポイントでの釣り。船から飛び込んで、サンゴ礁を五感で味わうシュノーケリング。船から降ろしたシーカヤックで解放感抜群の海上遊泳。イルカウオッチングも。遠くの山腹でゆったり草を食べている山羊がこちらを振り向いて心癒される「山羊セラピー」。ハヤブサが鳩を海に追い落とす大自然の摂理に触れることも。

ナイトクルーズならば、夏の満天の星空を仰ぎ、加計呂麻島の島尾敏雄文学公園の浜辺に降りる。大島海峡を挟んだ対岸の瀬戸内町古仁屋の灯りを眺めながら、かつての水上特攻艇の兵隊さんに思いを馳せる。島尾敏雄文学「出発は遂に訪れず」や島尾ミホ文学「海辺の生と死」の追体験もできるだろう。





「男はつらいよ」のロケ地スリ浜

「白い村」とよばれる美しいビーチ、スリ浜。マリンスポーツのメッカでもある【提供:瀬戸内町観光協会】

加計呂麻島でランチタイムを

奄美で一番ぜいたくな旅の二つ目は、チャーターした海上タクシーで加計呂麻島へ渡り、ランチを楽しむ"プチ"ぜいたくな旅だ。時間的なゆとりがない方へおすすめだ。海上タクシーを加計呂麻島まで貸し切ると片道3,000円前後、10人で乗れば一人当たり往復600円程度。大島海峡を颯爽と横断する爽快感、臨場感が何とも…。実に開放的だ。

船上では、映画「タイタニック」よろしく、マドンナに船首で両手を大きく広げてもらい、カメラでパチリ。すごく喜ばれる。

加計呂麻島でのランチタイムは、映画「男はつらいよ」シリーズの第48作(最終作)「男はつらいよ 寅次郎紅の花」のロケ地となったスリ浜で。野外レストラン「マリンブルー」でカレーライスを食べれば、一気に寅さん気分だ。




シーカヤックマラソン

マラソンコース、ハーフコース、駅伝コースなどレベルに応じたコース設定に加え、温かい声援や開放的な雰囲気が人気だ【撮影:犬塚 政志】

シーカヤックを楽しもう

何を隠そう、大島海峡は"日本初"のシーカヤックマラソン開催地だ。今年も7月7日(日)に、全国から400人規模の選手が集まり「2013 第21回奄美シーカヤックマラソン IN加計呂麻島大会」が開催される。6日(土)には、前夜祭も催される。数百艇のシーカヤックが力強いパドリングで海を突き進む様は迫力満点。奄美が盛り上がる大イベントのひとつだ。

そして最後に紹介する、奄美で一番ぜいたくな旅の三つ目は、シーカヤックでの大島海峡横断だ。初心者は、インストラクターに併走してもらう必要があるので、シーカヤックを保有するガイドに依頼するといい。片道1時間をみておけば十分だ。

アマミノクロウサギのシーカヤック遊び

アマミノクロウサギのシーカヤック遊び

私がおすすめしたいシーカヤックの楽しみ方は、左のイラストの通りだ。女性ウサギがシーカヤックを漕ぐ。男性ウサギは、泳ぎながら船体を後ろから押してあげる。サンゴ礁がきれいなところに着いたら、磯めがねでサンゴと戯れる魚たちを見る。飽きてきたら、また次の場所へ移動する。という具合だ。

そういえば、加計呂麻島に泊まっていた大学生たちの、こんな光景を見かけたこともある。男子学生1人がシーカヤックを海に浮かべ、その周りにはライフジャケットを身に着けた女子学生が5人ほどプカプカ。楽しそうに1時間余りおしゃべりをしていた。思えば、あれは奄美で一番のぜいたくな"海中"喫茶だ。コーヒーはなかったようだが、時折、潮水でも飲んでいたのだろうか。




花井 恒三花井恒三

奄美市役所退職後、無償ボランティア「奄美のトラさん」を名乗る。奄美への移住や投資・貢献、奄美での研究や自己表現を目的に、本土や沖縄から訪ねてくる人々の入口案内や人材マッチング活動を行っている。奄美大島笠利町宇宿出身。