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闘牛女子、徳之島に憧れる。

author: 久高幸枝(更新日:2013年9月12日)

闘牛の勝ち名乗り

愛牛「隼ジュニア」のデビュー戦。勝利し共に喜ぶ著者と、家族、仲間たち

沖縄の「牛どころ」に生まれ育つ

私は沖縄本島の中部にある、うるま市石川というところで生まれました。沖縄は徳之島と同じく闘牛が盛んで、なかでも石川は有数の「牛どころ」。

私の家も代々、牛を飼っている闘牛一家です。家族全員で草刈りをし、エサを与え、日曜日には闘牛場へ行くというのが日課でした。

台風で豪雨の時も、三日はしかでブツブツが出ていても、家族みんなで牛舎に行って過ごしたのを今でも覚えています。とてもキツイときもあったけど、牛たちが待ってるんです。「もぉ~」って甘えてくるんです。だから、いつでも皆で頑張れました。

私の父は牛のひづめを切る「削蹄師」という仕事をしており、徳之島にも何度もおじゃましています。私も学生のころは徳之島へ行く父に一緒についていきました。「削蹄のお手伝い」と称し、いろんな方の牛舎にお邪魔しては、写真を撮ったり、闘牛のお話を聞いたりしていました。

徳之島の町並みは、私が住む石川に、どことなく似ている気がします。狭い道路に、さとうきび畑。夕方になると牛が散歩をしている光景。言葉もどことなく、似ているような、似ていないような。




「隼ジュニア」のデビュー戦の日に

徳之島・伊藤観光ドームで。一家で飼っている「隼ジュニア」のデビュー戦の日に

闘牛パラダイス・徳之島

そして、闘牛好きの私から見て、徳之島は「闘牛パラダイス」といっても過言ではありません。徳之島で大きな闘牛大会があるたびに「行きたい!!」と大騒ぎしています。 だけど、沖縄からは船で8時間。船酔いのひどい私にとっては過酷です。仕事の都合もあってそう簡単には行けません。

沖縄から近いようで、遠い徳之島。本当はもっともっと、闘牛パラダイスにどっぷり浸りたいのに……。

徳之島の方は、闘牛に対してとても熱い想いを持っていらっしゃいます。牛をまるで子犬のように扱い、喜びを身体いっぱいに表現する。そんな素直で情熱的な姿は本当にステキです。

大会が決まると、仲間が集って酒を酌み交わしながら戦略を練る。おそろいのTシャツやハッピ、応援タオル。そして大相撲のように大きなのぼりを作って大会に臨みます。その勇ましい姿がとてもかっこいいです!

また、沖縄ではあまり見かけませんが、大会当日は牛を乗せるトラックにたくさんの応援団が乗り合わせ、太鼓をたたき、ラッパを吹きながらパレードのように街を走り、闘牛場を目指します。

入場はボクシングの世界選手権さながら。たくさんの応援団とともに牛が入場。試合が始まると、小さな子どもからお年寄りまでが手に汗を握って見守り、緊迫した空気の中、闘牛士だけではなくリングサイドの応援団も大きな声で応援します。まさに牛と人が一心同体となって頑張るわけです。その「熱さ」に、私はいつも感動させられます。 やっぱり、徳之島は憧れの地なんです。




闘牛女子の撮影風景

大会の時はいつも一番前を陣取って撮影に臨む

それぞれの地域に根付く闘牛

闘牛の試合についても、徳之島と沖縄とではよく似ていてルールにもほとんど違いはないのですが、徳之島には沖縄にはない「ミニ軽量級」という等級があります。また、リングの形はどちらも円状ですが、徳之島はリングと観客席とがほぼフラットの高さになっていて両者の間に柵があります。沖縄では観客席よりリングが低く下がっていて、リングの周囲は土手によってぐるりと囲われています。闘牛がこの土手をつたって逃げたり、走り回ったりすることもよくあるのですが、徳之島ではそれはありません。

柵際の攻防

柵際ではこのように土手を駆けながらの攻防も

ちなみに、「ワイド、ワイド~♪」の歌い出しで有名な徳之島民謡「ワイド節」は、沖縄の闘牛ファンなら誰でも知っていて、会場でこの曲が流れることもしばしばあるんですよ。

沖縄や徳之島以外にも、岩手や新潟、宇和島、隠岐島などで闘牛が行われていますが、地域によって違いがあるようです。スポーツや相撲のように統一ルールが存在するわけではない、地域に根付いた闘牛のあり方。とても興味深いです。




東昇ドラゴンズvs山里花形

『写真集 闘牛女子。』より、東昇ドラゴンズvs山里花形(2012年8月12日撮影)の迫力の一枚

きゅらしま徳之島

私は徳之島の観光スポットや景色も大好きです。「犬の門蓋」「ムシロ瀬」「犬田布岬」などの景色はほんとうに美しく、私もよく愛用のカメラで景色を撮影しています。また、マラソンの高橋尚子さんが合宿をすることでも知られており、島の北側を周回するロードコース「尚子ロード」も。

島内には「闘牛散歩中 走行注意」なんていう徳之島ならではの看板もあちらこちらにあって、それを見るたびに「本当に闘牛パラダイスなんだなぁ」と実感します。

『写真集 闘牛女子。』『写真集 闘牛女子。』
「牛カラヤー」(牛飼い)一家の長女として生まれ、牛と暮らし、牛を育て、牛を撮り続ける「闘牛女子。」仲間、家族、そして闘牛への思いがつまった、迫力と愛がいっぱいの写真集。

私は5月に『写真集 闘牛女子。』を出版しましたが、ぜひ徳之島の方にも手にとっていただきたいと思い、「きゅらしま館」さんに本を置かせてもらっています。徳之島と沖縄が、闘牛によってもっと強く結ばれてほしいと願っています。次に生まれてくるときは徳之島の人として生まれたいと思っています。そして、みんなで「ワイドー!ワイドー!」したいです。




久高 幸枝(くだか・ゆきえ)久高幸枝

1975年、石川市(現うるま市石川)生まれ。代々続く「牛カラヤー」(牛飼い)一家の長女で、小学5年生から闘牛の写真を撮り始める。保育士、ブライダルカメラマン(「ニューフロンティア」所属)などを経て、現在はフリーカメラマン。著書に『写真集 闘牛女子。』(ボーダーインク発行、定価1365円)。

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奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介

泉 博喜さんあまみんちゅ[no.16]
泉 博喜さん(勢子)

闘牛場に響く気合いの入った掛け声。その声に合わせ、牛が一気に力を込める。勢子(せこ)とは、牛の闘争心を盛り立て、勝負の流れをコントロールし、勝利を目指す、闘牛のセコンド役のことである。泉さんは生まれも育ちも徳之島の「とくのしまんちゅ」で、20年以上のキャリアを誇る島でも有数の勢子だ。

闘牛泉さん自身も「闘牛があるから、この島にいるようなもの」と語るほど、闘牛への思い入れは強い。「俊敏な牛、力のある牛、スタミナのある牛など、牛にもそれぞれ特長があります。牛の特長や相手関係から試合の流れを考えたり、勝負どころを見極めて気合いをつけたり、勢子は本当にやりがいがありますよ」と熱い口ぶりにこちらが引き込まれる。

掛け声に関して聞くと「それいけ、がんばれという強い気持ちで叫んでいるんですが、正直なんと文字にして良いか分からない声を上げています」と笑う。牛の勝利だけでなく「熱気あふれる会場の雰囲気づくり」をモットーに挙げるように、闘いがこう着状態になったときには、踊りを踊って会場を盛り上げることも。10月5日・6日に行われる「第16回全国闘牛サミットinいせん」闘牛大会にも勢子として参加予定の泉さん。牛・勢子一体となった熱闘に注目だ。(2013年9月26日)

闘牛2

DATA

第16回全国闘牛サミットinいせん

  • ■全島中量級・ミニ軽量級優勝旗争奪戦伊仙町大会
  • [日時]10月5日(土曜日)午後6時開始
  • ■全島一・軽量優勝旗争奪戦伊仙町大会
  • [日時]10月6日(日曜日)午後1時開始
  • [会場(両日とも)] 徳之島なくさみ館
  • [入場料(各日)]大人3,000円(高校生)、小人1,000円(中学生)、小学生以下無料
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