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水や山うかげ 人や世間うかげ
―豊かな森に抱かれた奄美大島の海―

author: 山下久美子(更新日:2014年5月15日)

きれいな海の水

水底が透けて見えるほどきれいな海の水

祖父のふるさと、奄美大島へ

幼い頃から父はしばしば私に「アマミオオシマ」の話をしてくれた。そこは父方の祖父が生まれ育った島であること、親戚がたくさんいること、そして海がとてもきれいなこと。私にとって「アマミオオシマ」は、行ったことはないけれどいつも胸のどこかにある、そんな場所だった。「アマミオオシマ」が「奄美大島」であり、自分の住む大阪からはるか南方にあることを知ったのは、地図が読める年頃になってからのこと。そして、私がようやくこの島に初めて訪れることができたのは20歳の夏のことだ。

青い海と白い砂浜

青い海と白い砂浜のすぐ後ろには緑の山がある

伊丹空港から飛行機に乗り1時間を少し過ぎた頃、青色の大海原に浮かぶ島が見えてきた。さらに島に近づくと、飛行機はリーフの内側の浅い海の上を飛んだ。水面は太陽の光を反射してきらきらと輝き、水は底が透けて見えるほどきれいだった。食い入るように窓の外を眺めているとほどなく、飛行機は奄美空港に到着した。

飛行機を降りた瞬間、頭てっぺんから足のつま先まで、じっとりとまとわりつくような強烈な湿気を感じた。しかし、私はこの湿気を嫌だとは思わなかった。むしろ、大阪とは明らかに違う奄美大島の空気を肌で感じる喜びの方が大きかった。初めて島に来てから7年後、私はこの島に移り住んだ。




金作原原生林

太古の森を彷彿させる金作原原生林

豊富な雨がもたらす豊かな森と海

奄美大島は今、梅雨を迎えている。奄美大島ではゴールデンウィークが終わるとまもなく梅雨に入る。大阪では冬場はあまり雨が降らないが、この島では冬場も雨が降る。4月に入り少し穏やかな晴れの日が続いたかと思えば、またすぐに雨の季節が来る。島に来て最初の頃はこの雨の多さに少々戸惑ったが、今はもうこの天候に身体が馴染んでいる。

奄美大島は年間平均気温21℃前後、年間降水量約3,000mmの温暖多雨な島だ。島の面積のおよそ8割は森林で占められ、人々が暮らす集落の背後には、まるでブロッコリーのようにモコモコとした照葉樹林が広がっている。この豊かな森に降った雨の水は、栄養分をたっぷり含んだ川となり、やがて海に流れ込む。

湯湾岳

琉球弧の最高峰、湯湾岳(694.4m)

この島にはこんなことわざがある。「水や山うかげ 人や世間うかげ」(水があるのは森の木々のおかげで、木々があるのは水のおかげ。人も同じで周りの人々の助けや支えがあってこそ。感謝の気持ちを忘れずに人の役に立ちなさい)。豊かな森に抱かれた奄美大島の海。その海の中にはたくさんの色とりどりの生き物たちが暮らしている。







個性的な生き物

透明の身体を持つ魚など、海の中には個性的な生き物がたくさん

知る人ぞ知るダイビングスポット、奄美大島

豊かな森がすぐそばにある奄美大島の海では、砂浜からほんの少し泳ぐだけで、港からほんの少し沖に出るだけで、たくさんの色とりどりな魚を見ることができる。

島の北部のダイビングポイントのほとんどは港からボートで20分以内で移動できる。また、北部にはビーチダイビングを楽しむことができるポイントもある。ダイバーに人気のポイント「倉崎ビーチ」は空港から車で20分。着替えの時間を含めても、空港に到着して海に入るまで1時間もかからない。奄美大島での滞在日数が少なく、なるべく移動時間を少なくしてダイビングを楽しみたいという方は北部でのダイビングがおすすめだ。

サンゴ

サンゴは色とりどりの小さな魚たちの住処だ

島の南部でもほとんどのポイントまでの移動時間は20分ほど。到着日に潜ることは時間的に難しいが、滞在日数に余裕のある方はぜひ南部にも足を延ばしてほしい。初心者向けのポイントから上級者向けポイントまで、バリエーション豊かなポイントが揃っているのが南部の魅力だ。

奄美大島はジンベイザメやマンタなどのいわゆる大物を見ることができるスポットではないし、大型リゾートホテルが立ち並ぶにぎやかなリゾート地でもない。頻繁にダイビング雑誌に特集が組まれることもない。奄美大島はダイバーなら誰もが一度は行ったことがあるメジャーなダイビングスポットというよりは、知る人ぞ知る穴場のダイビングスポットといえよう。

ちなみに、奄美大島ではガイドを含め2~3人のグループだけでポイントを貸しきり状態にできることもしばしば。色とりどりの生き物達が暮らしている美しい海を自分達だけで貸し切る贅沢なダイビング。そんなゆったりとしたダイビングが楽しめるのもこの島ならではの魅力だ。




スノーケリング

浅瀬でのスノーケリングは子供連れでも安心 提供:ダイブリゾート海風

まずは海の中を覗いてみよう

「スクーバダイビングはちょっと怖い」という方はまずはスノーケリングで海の中を覗いてみよう。スノーケリングはマスクとスノーケルさえあれば手軽にできる。子供向けのマスクやスノーケルも販売されているので、小学校低学年くらいのお子さんがいるご家庭でも、家族で楽しむことができる。スノーケリングやダイビングに使用するマスクは、水泳用のゴーグルよりはるかに視界が広く明るい。口呼吸に必要なスノーケルも使い方に慣れてしまえば簡単だ。また、フィン(足ひれ)を着けるとより広範囲を楽に移動することができる。まずは道具に慣れるためにも、初心者の方はダイビングショップなどが開催するスノーケリングツアーに参加するのがおすすめ。ツアーならガイドが一緒なので安心だ。

カクレクマノミ

映画で一躍人気者になった魚の仲間、カクレクマノミ

この他、奄美大島ではサーフィンやスタンドアップパドル・サーフィン、シーカヤックなどのマリンスポーツを楽しむことができる。

奄美大島の梅雨明けは例年6月下旬。梅雨明け後は晴天が続き、気温、水温ともにマリンスポーツに最適なシーズンを迎える。水や山うかげ―。梅雨に降ったたくさんの雨は森から川へ、そして海へと豊富な栄養分を届ける。栄養豊富な夏の海は春~初夏にかけて生まれた小さな幼魚たちが一生懸命泳ぎ回り、とてもにぎやかだ。この夏、豊かな森の恵みいっぱいの奄美大島の海に遊びにいらっしゃいませんか。




山下 久美子(やました・くみこ)著者紹介

一般社団法人・奄美群島観光物産協会 奄美大島北部島コーディネーター。奄美大島観光協会に所属。島外の旅行代理店や個人旅行客からの問い合わせに対応する傍ら、奄美空港や観光船バースなどで歓迎セレモニーや観光案内業務なども行う。前職はスクーバダイビングのインストラクター。大阪府岸和田市出身。

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奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介

肥後陽子さんあまみんちゅ[no.24]
肥後陽子さん(奄美島唄ユニット「あまみ紬人」唄、太鼓担当)

鹿児島県内全域でライブ活動をするユニット「あまみ紬人(つむぎんちゅ)」(麓和幸代表http://npotumugintyu.web.fc2.com/index.html)のメンバーで、古里の島唄を愛する唄者の1人。奄美市出身で12年ほど前から鹿児島市に暮らす。活動を始めたきっかけは7年前。友達にメールしたら、「みんなで居酒屋で歌ってるよ」。その場に行き、即興で歌う「うたあしび」に加わった。島唄に対するもの悲しい、堅いイメージが一変。祖父が唄者だったこともあり、その後すぐに、友達がメンバーだったつむぎんちゅに参加したという。チヂンと呼ばれる太鼓をたたき、蛇皮線を弾きながら古い島唄から新民謡まで40曲以上を歌う。

肥後さんの母の出身地大和村に伝わる島唄「やちゃ坊節」の「やちゃ坊」は山に住み、お金持ちの家から食べ物を盗んで貧しい人に配っていたという伝説の人。その隠れ家が大和村にあったといわれている。奄美に行くと、島唄にまつわる石碑があちこちにあり、石碑を巡る島唄ツアーも開かれているという。

つむぎんちゅ2人県内各地でライブをする毎日。つむぎんちゅの麓代表が吉本興業の元芸人でトークも熱く、「お客さんも一緒に手踊りしてもらったり、お囃子してもらったりして一体感がある」という。今後の目標は、鹿児島本土に住んでいる島人(しまんちゅ)を集めて天文館で八月踊りをすること。「世代を超え、島唄をあまり知らない若手も集めて盛り上がりたい」と語った。(2014年5月29日)

奄美島唄LIVE「うかげ~感謝~」

DATA

奄美島唄Liveうかげ~感謝~

  • [期日]6月28日(土)
  • [時間]開場午後2時半、開演午後3時
  • [会場]鹿児島市のかごしま県民交流センター中ホール
  • [出演]あまみ紬人、しまびじん、ペアーレ、西夫婦、マイクバンドほか
  • [チケット・問い合わせ]090-6894-2259 (麓さん)
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