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熱い・暑い・厚い トライアスロンの島にようこそ
―島人から見た「徳之島はこんな所」―

author: 丸野 清(更新日:2014年6月12日)

トライアスロンの参加選手

懸命にゴールを目指すトライアスロンの参加選手。選手たちの頑張りを、多くの島民が支える。

遅くても あなたが主役

今年も6月29日、「トライアスロン in 徳之島大会」が開かれる。27年前に始まった大会には、島の”熱さ”に魅せられた鉄人たちが、毎回全国から多数集まってくる。21回大会からは、島を一周する約80㎞のコースに変わり、この日は丸一日、島全体が「トライアスロン一色」に染まる。

大会のテーマは”遅くてもあなたが主役”。タイムを競う有名選手らも出場するが、ゆっくりとレースを楽しもうという一般の選手たちも、ゴールの際には変わりなく、ど派手に出迎えるのが伝統なのだ。

声援を送る島民たち

太鼓を打ち鳴らし、トライアスロン選手に声援を送る島民たち

私は第2回大会から26年間、毎年大会で実況を担当している。午前5時に起床し、午前7時にはスイム会場で「アスリートの皆さんおはようございます」と第一声。私の長い一日が始まる。選手たちはコバルトブルーの海水浴場・ヨナマビーチをスイムでスタートし、熱帯魚を眺めながら2㎞を泳いだ後、バイクに乗り換えて島を一周する。この間に僕はゴール会場に移動し、応援のために集まった観衆を前に、選手の様子や大会運営の裏話などを交えながら実況する。照りつける島の灼熱の太陽。選手も暑いが、沿道で応援するシマンチュ(島人)達も、「熱さ」では負けていない。それぞれが島太鼓、空き缶、手作りの楽器を手に、島中で応援している姿はまさに「トライアスロンの島」にふさわしい風景だ。

徳之島でのトライアスロンには、スイム、バイク、ランのほかに、4つ目の「競技」がある。表彰式に続き、参加者全員が島のリズムに合わせ一体となって踊るパーティーだ。多くの選手が楽しみにしているこの「競技」も、徳之島大会の魅力の一つになっている。最後は六調を踊り、同時に花火が打ち上がりフィナーレを迎え、僕の長い一日も終わる。

2020年に鹿児島県で開催される国体で、徳之島がトライアスロンの競技会場に決まった。熱い太陽が輝く、人情も厚い徳之島は、「鉄人たちの島」として、トライアスロン一色に彩られることだろう。




激しくぶつかり合う闘牛

約1トンの牛たちが激しくぶつかり合う闘牛。戦いを見守る島民たちも熱く燃える

世界にひとつ、徳之島だけのリズム

約2万6000人が住む徳之島。島の暮らしについて語るとき、欠かすことのできないのが「闘牛」だ。年に数回開かれる島最大のイベント。幼児から80歳のおじいちゃん、おばあちゃんまで老若男女が闘牛場に集い、大いに盛り上がる。重さ1トンもあろうかという巨体が、にぶい音をたて土煙を上げながらぶつかり合うさまは迫力満点だ。一度観戦すると、多くの人々がその虜になる。

一方の牛が、相手におしりを向け逃げると勝負が決まる。勝った牛の飼い主はもちろん、応援した家族や親戚、知人友人らが一斉に闘牛場になだれ混み「ワイド、ワイド」のかけ声で祝福しながら乱舞する。

雄叫びを上げる飼い主

真剣勝負を制した牛の背に乗り、勝利の雄叫びを上げる飼い主。闘牛場に「ワイド、ワイド」のリズムが響き渡る

徳之島では、自分の飼う牛が闘牛で勝つことは家族全員の喜びだ。島で一番強い牛(島のチャンピオン)のことを「全島一」という。全島一の牛を持つことは、家族ももちろん一族の誇り。この喜びや誇りが、ワイド、ワイドのリズムを生み出す。日本全国で闘牛が行われている地域は他にも5カ所あるが、他では聞いたことがない。このリズムがいつ、どうやって生まれたのかについては諸説あるが、世界広しといえども、このリズムは徳之島だけのものだ。

島では、ワイド、ワイドの踊りや節回しを「ティマイ(手舞)」という。闘牛の際だけでなく、島のいろいろな祝い事の時にもこのリズムで祝う。たとえば結婚式で新郎新婦を祝福するティマイ、スポーツ大会で勝利した時のティマイ、子どもが産まれ家族が増えた喜びのティマイ……。挙げるときりがないほど、島民の日常生活に深くとけ込んでいる。

今日も遠くでティマイの太鼓が聞こえてきた。これが徳之島の暮らしだ。




元気な高齢者の姿

島唄のリズムに合わせ踊りを披露するおばあちゃん。「長寿の島」では、元気な高齢者の姿が目立つ

子どもは地域の宝もの

わが徳之島は「長寿・子宝の島」として有名だ。長寿世界一になった泉重千代さんや本郷かまとさんに代表されるように、島には元気なおじいちゃん、おばあちゃんがすこぶる多い。また伊仙町は、厚生労働省が発表した2008~12年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に生む子どもの推定人数)が2.81で全国一。徳之島町と天城町も県内2位、3位と続き、いずれも全国のトップ10にランクインしている。

徳之島は「地域で子どもを育てている島」とよく言われる。例えば、街で見かけた中学生や高校生に「こんにちは、君の名前は?」などと声を掛けると、都会では「なんだ突然このおじさん」と不審に思われそうだが、ここでは、子ども達も慣れているのか「どこどこのだれだれです」と、元気よく答えてくれる。名前を聞いただけで「おっ、お父さんは○○さん?」とか、「君は○○集落の出身だね?」などと、子どもたちのことがわかるのも、見方を変えると地域が子どもたちを見守っている、また地域が子ども達を育てている証しだといっても過言ではないと感じる。

「子宝の島」の元気な子どもたち

「子宝の島」の元気な子どもたち。地域の大人たちは温かい目で子どもたちを見守っている

徳之島では、出産祝いや小学校入学祝い、成人式祝いなど、節目節目のお祝いはどれも盛大だ。地域の人たちが入れ替わり立ち替わり100人以上もやってきて、お祝いの宴が続くのは珍しいことではない。「子どもの祝いこそが地域の祝い」だと位置づけているからだ。

子どもが集落の中を歩いていると、どこからともなく「どこ行くの?」と必ず声を掛ける大人たち。みんながあなたを見ているよ、と言わんばかりだ。やはり子どもは、集落(地域)の宝ものなのだ。

(写真はいずれも加川徹氏提供)




丸野 清(まるの きよし)著者紹介

1962年生まれ 徳之島伊仙町阿権出身。イベント企画・オフィスまるの代表、徳之島エコツーリズム推進協議会長、島案内人。イベントの企画立案などの傍ら、島の情報発信に取り組む。「徳之島オヤジバンドまぶらい」に参加、NHKオヤジバトル2012でグランプリを獲得した。

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奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介

あまみんちゅあまみんちゅ[no.25]
泉 久美子さん(LaFonte〔ラフォンテ〕)

奄美の太陽をいっぱい浴びたフルーツをふんだんに使ったジェラート。奄美を感じる一口が老若男女を笑顔にする。龍郷町赤尾木でジェラート店「ラフォンテ」を切り盛りする泉久美子さんの喜びだ。

生まれも育ちも奄美市名瀬。高校卒業後、進学のため島を離れたが、小さいころの記憶が忘れられなかった。青く透き通る海、緑あふれる山々、さまざまな鳴き声を響かせる鳥…。高校の同級生だった主人とは「老後は島に戻ろう」と約束していた。だが、子どもができたのを機に「奄美の大自然の中で育てたい」という気持ちが大きくなり、2011年2月にUターンした。

島では農園を始め、野菜や果物を中心に育てている。作物の味に自信はあるものの、規格外になると商品にならない。「おいしいのにもったいない」。その思いがジェラート作りにつながった。農園の旬の素材以外にも、無農薬サトウキビからつくる黒糖や黒潮の海水を煮詰めた天然塩、ラム酒の代わりに黒糖焼酎を使うなど、奄美産にこだわる。

店頭には常時10種類が並ぶ。あまみんちゅサブ四季折々の旬な素材を使うため日替わりが主だ。素材の味と色を生かそうと「(香料や着色料など)余計なことはしない」と、味への追求は続いている。でも「がんばれるのは私が一番好きなのがジェラートだからよ」と笑った。

奄美について「隠れた観光スポットが多い島。是非、地元の人と話をしてみて」と呼びかける。ラフォンテも親しみやすくリラックスできる空間を心がけた。奄美の「今」が分かる場にしたいと願っている。

DATA

LaFonte(ラフォンテ)

  • 「パッションフルーツソルべ」と「黒糖ミルク」(右)と「すももソルベ」と「ラフォンテのミルク」のカップ。自家農園で育てた無農薬の「パッションフルーツ」は奄美らしさもあって一番の人気。これからの季節は、旬のすももと低温殺菌ノンホモ牛乳を使ったラフォンテミルクの組み合わせがお薦めです。
  • [住所]龍郷町赤尾木1325-3
  • [電話番号]0997-62-3935
  • [定休日]火曜
  • [ブログ]http://lafonte.amamin.jp/
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