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のびやかに浮かぶ島・おきのえらぶ島

author: 古村 英次郎(更新日:2014年10月9日)

田皆岬

島の北西端に位置する絶景の地・田皆岬。眼下には紺碧の蒼が広がる

ありのままの自然の日常

奄美群島の南に位置する沖永良部島。その海岸線はあまりにもダイナミックだ。サンゴが隆起してせり上がった地形は、見るものを圧倒する。もう一歩踏み出せばそこは断崖絶壁。もちろん柵も皆無。恐る恐る際まで歩み寄りそっと海を覗き込む。そこには驚くほどの蒼(あお)が広がっている。

あまりの透明度に目を奪われ、しばし恐怖を忘れ紺碧(こんぺき)の蒼に見とれていると、何やら黒い影がゆっくりと海面に現れる。ウミガメだ。ウミガメの日常の営みを、当たり前のように垣間見ることができる。都会の喧騒を忘れ、初めて見た人々はその瞬間、皆歓声を上げる。その表情はまるで子どものようだ。

ウミガメ

海面に姿を現したウミガメ。島ではごく普通の光景だ

ザトウクジラ

島周辺にはザトウクジラも姿を見せ、迫力満点のパフォーマンスを披露する

1月から3月にかけては、ザトウクジラが島周辺に現れる。ホテルやレストランの窓の向こうに何気なく目をやっていると、水しぶきがふっと上がる。そのあと尾びれや胸びれでのパフォーマンスが始まる。そんな日常に「非日常」があふれ、自然がのびやかに映し出される島。癒しという言葉では表せないほどの安らぎを、沖永良部島では得ることができる。









海開き

島の海水浴場の海開き。子どもたちの笑顔があふれる

変わらぬ風景、憧れの島

鹿児島本土の南端から500キロ以上も離れた沖永良部島。私が生まれ育った故郷だ。夏休みになると毎日、歩いて5分の海に行き真っ黒になって遊んだ海。これほどまでに特別なものだと考えたことがなかった。

島に一つしかない高校を卒業し、家族や友達に別れを告げ、島を後にした日のことを昨日のことのように思い出す。島を離れて12年。色々な経験を経て妻と長女と共に7年前に帰ってきた「そこ」には相変わらずの安らぎがあった。100歳を間近に控えた祖母、少し年を取った両親、変わらぬ字(集落)の人々-。ここで過ごした少年時代を、また我が子も送るのかと思うと胸がいっぱいになった。

エラブユリ

4月ごろから咲き始める純白のエラブユリは島民の誇りだ

この島には、今の都会の生活には失われてしまったものがたくさんある。地域一体となって学校行事を行い、集落の行事を催す。かつて私が経験した幼少の記憶の断片が現実のものとなり、目の前で再び繰り広げられている。こんなノスタルジックな思いを感じることができるのも、この島が昔ながらの習慣を色濃く残して現在に至っているからだということが分かる。

このような温かみが残るコミュニティーに憧れ、今Uターン・Iターンで島に定住する人がいる。海に惚れ込んで移住した方も、子育てをしに帰ってきた方も、他のどの島でもない、沖永良部島を選んできてくださった方々だ。生まれ育った私からすれば、この上なく嬉しいことである。







三味線

島唄を奏でる三味線の音色は、人々の心に優しく響く

多様性のあるバラエティーに富んだ島

琉球文化圏の最北の地であるこの島の文化・自然とのかかわりは、やはり独特だ。琉歌が起源である島の唄は懐かしさを感じさせる調べで、初めて聞いた人にも優しく響く。また鍾乳洞は、ひとたび奥深く闇に包まれる空間に入っていくと、太古から育まれた鍾乳石の圧倒的な存在感に言葉を失う。まさに暗闇の中の芸術品だ。気軽に体験できる「昇竜洞」や、ガイドと一緒に楽しむケイビングは、幅広い層の参加が可能である。

ビーチに足を延ばせば、プライベート感たっぷりな空間がそこにある。磯釣りを楽しむもよし、シュノーケリングするもよし、はたまたダイビングまで手を広げてみると世界屈指の珊瑚と魚の群れが迎えてくれる。のびやかに存在する自然が、島訪れる人それぞれの感性に呼応していくその多様性こそがこの島の魅力だ。そして、それを紹介してくれる人々の人柄が、この島最大の魅力なのだ。




マハダグムイ

3年前から復活した伝統の追い込み漁「マハダグムイ」

のびやかな自然をありのままに

島の生活そのものを見て頂くのが、島を旅する一番の楽しみになるでしょう。楽しんで島の生活を垣間見ることのできるイベントを、皆さんに楽しんでほしい。

パンフレット

島の見どころを紹介するパンフレット

3年前から、島伝統の追い込み漁「マハダグムイ」を復活させ、島内外の多くの皆さんに喜んでいただいています。島の漁師の営みを知ってもらう、農家の営みを知ってもらう、沖永良部島の人々の営みを知っていただけるように、そして喜んでいただけるような体験交流プログラムを、島民一体となって作り出しています。

世界自然遺産登録に向け、奄美群島や琉球諸島に注目が集まっています。島の住民も楽しみながら、島の生活そのものを観光のお客さまに楽しんでいただけるよう、観光情報誌やガイドマップなども充実させています。是非島にお越しいただき、しばし沖永良部の「島んちゅ」を体験してみてはいかがでしょうか?




古村 英次郎(ふるむら・えいじろう)著者紹介

おきのえらぶ島観光連盟事務局長。1977年、沖永良部島・和泊町古里生まれ。島の高校を卒業後中京大学へ。卒業後渡豪、ダイビングインストラクターとしてケアンズで勤務。帰国後名古屋での旅行会社勤務などを経て長女の出生を機にUターン。島の旅行会社勤務の後、現職。島コーディネーターとしても精力的に活動中。

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奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介

山口 賢一郎さんあまみんちゅ[no.29]
山口 賢一郎さん(cafeblue tokunoshima店主)

徳之島空港から車で数分の場所に、古民家を改装した隠れ家的なカフェがある。店名は「cafeblue tokunoshima」。東京からUターンした店主の山口賢一郎さんは「遮る物が何もない青い空に青い海。その光景に感動して。そのまま店名にしました。安直ですけどね」と笑う。

徳之島町亀津生まれ。高校まで実家で過ごし、進学のため上京。大手百貨店に16年間勤めた後、高齢になる一人暮らしの母の面倒を見るため、2012年Uターンした。百貨店勤務の経験を生かして島の特産品を島外へ売れないか考えたが、まずは地元により根付こうと「将来的な夢」だったカフェを昨年5月オープンさせた。

店のコンセプトは「島のばあちゃん家」。改修は必要最低限にとどめた。テーブルは3席のみ。南国の心地よい風にふれて、ゆっくりと時間が流れる空間を演出する。中でも店から見える海に沈む夕日がお気に入り。そのため日が沈むまでが営業時間だ。

島に帰ってきて、あらためて実感したのは「温かさ」。気候はもちろんだが、人の温もりに感動した。古民家は友人が祖母宅を貸してくれ、開店の準備も手弁当で手伝ってくれた。今も仲間が家族のように支えてくれる。店内子どものころには気づかなかった「島の絆」を再確認する日々だ。

そんな島の良さを発信しようと、店はメードイン徳之島にこだわる。飲み物には、島のしょうがやシークワーサー、べにふうきなどを使用。店の一角には友人手作りの雑貨を並べ、壁には島の風景カメラマンの作品が並ぶ。島内3町の店の名刺もそろえ、店内はまるで観光案内所のようだ。

徳之島を「小さな幸せがいっぱい詰まった島」と表現する。最近、写真を趣味で始めた。一眼レフカメラを手に島の日常風景を切り取り「島の魅力」として、フェイスブックで全世界に発信している。

DATA

OBORA(オボラ)

  • オボラは徳之島の方言で「ありがとうございます」の意味。写真下のTシャツは、島にある「ゴリラ岩」をモチーフにしている。山口さんの友人らが、島の日常からインスピレーションを受けて手作りしている。Tシャツのほかにも雑貨を販売している。cafeblue tokunoshimaの一角で取り扱う。
  • cafeblue tokunoshima(カフェブルーとくのしま)
  • <住所>天城町与名間397
  • <電話>0997(85)2160
  • <営業時間>午前11時~日没
  • <定休日>木曜日
  • <フェイスブック>
    http://www.facebook.com/cafebluetokunoshima
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