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使っちゃおう しまゆむた!

author: 百目(更新日:2015年5月7日)

会話でのコミュニケーションが取りづらい

「じゅんこ?」

それは、母の名前。

子供の頃、家の電話に出ると相手の第一声は大抵「じゅんこ?」から始まる。

「今、いません」と言えば「あんた誰ね?」

あんたこそ誰だ、まず名を名乗れ。

こういうのが、島っぽくてとてもイヤだった。

テレビで見るようなスマートな会話に憧れた。

子供らが日常使う言葉は標準語と大して差はなく、なまっている程度。

しかし大人たちが使う言葉はガチガチな方言のうえ、独特な発音も加わり聞きとりづらい。そのため、世代間で言葉の隔たりができてしまい、言いたいことが伝わらないし伝えられないまま、お互いにニコニコしながらさようなら~、ということがよくあった。

島(奄美)の方言のことを「しまゆむた(島言葉)」とか「しまぐち(島口)」 という。

私は、祖父母や年配のご近所さんの会話を耳にする環境で育ったから、ある程度「ゆむた」が理解できる が、同世代には全く通じない子も多くいた。

「しまゆむた」がだんだんと使われなくなった背景に は、核家族化が進んで爺ちゃん婆ちゃんと話す機会が減ったこともあるだろう。

そして、ずっと昔、叔母が小学生の頃。校内で「ゆむた」を使うところを先生に見つかると、『私は方言を使いました』と書かれたボードを首に掛けられるバツがあったそうだ。

標準語を使うように徹底教育していた時代も経て、みんなが標準語をきちんと話せるようになったのかもしれない。

その代わり、古い言葉を知らない世代がますます増えていく。

さみしい。




LINEで「ゆむた」を日常使い

島を離れて十数年……。

島には数年に一度程度しか帰らなくなり、普段は完璧なイントネーションで標準語を話し、外面だけは「都会の人」のように振る舞ってすごしていた。

そんなある時、SNSのLINEが登場。

LINEのグループトーク、仲間だけで閲覧と書き込みができる便利な機能。

それを使って同級生達とトークをしていると、「ちゃ!」「はげっ」「いんぎーわじわじ」「いいだっか」などの、「ゆむた」が登場する。

島在住者も多いが、島外で暮らす友達は久しぶりに方言スイッチが入ったからか、盛り上がって止まらない。

時々、「それ、なんて意味?」とか「ずっと標準語だと思ってた!」という書き込みもあった。

それらを拾い集めて作ったのが、LINEスタンプ「奄美んちゅ」である。

当初、仲間内でおもしろがれればいいと思って作ったが、「ウチの親戚みんな持ってるよ!」「毎日使ってるよ!」と、うれしい感想をもらったりするようになった。

この場でお礼を申し上げたい。

はげはげぇ~、ありがっさまありょうた!

(訳:いやもう使ってくれてほんっと心からうれしいよ~、ありがとうございました!)

こうして毎日みんなが誰かと「しまゆむた」を使えば、これからも残ってくれるかもしれない。







「ミキ」と「島時間」

LINEスタンプ「奄美んちゅ」の中で特に重要な2つのアイテムの話。

ミキ。

私はミキが大好きだ。

かわいい名前の島のソウルフード。

実家の冷蔵庫には牛乳とミキが仲良く並んでいるのが定番。

米と芋と砂糖でできている、デブまっしぐらの材料。

それでもミキが大好きだ!!

私がこんなに恋い焦がれるミキだが、受けつけない奄美の人もいる。

その感覚は、日本人だが納豆はムリ、と似ている。

いいのだ。納豆食べられなくても日本人。ミキが飲めなくたって奄美の人。

私の職場で都会の人々にミキを振る舞ってみたこともあるが、なんというか……、ハートをつかむことはできなかった。

しかしながら私は言いたい。「はい、まずミキ飲んでごらん」と。

島時間。

「島時間では内地で通用せんからや!」

私が学生の頃、よく先生に言われたものだ。要は時間を守れということなのだけど、本当にこの島時間はやっかいだ。

5時に集合と言えば、5時に来るやつ。5時に家を出るやつ。5時に風呂に入って支度を始めるやつ……。

もう、時間の概念がそれぞれすぎて、まずそこから話し合いが必要になる。

しかし意外にも、社会人になるときちんと時間を守るようになったりするから、これまた不思議。

みんな大人になったのね~、仕事していればそうよね~、と思って遊びの計画を立てたりすると、そういうときには島時間が発動されたりするから、奄美の人との待ち合わせは要注意。




レッツトライ「しまゆむた」

バニラエアが就航したからか、ここのところ奄美関連の番組を多く見かけるし、周りで「奄美に行ってきたよ~」という人も増えてきた。

そんな奇特な旅の人にもぜひ、「しまゆむた」を使っていただきたい。

生まれも育ちも東京の私の従姉妹は、島に遊びにくると私らをマネて「ちゃ」を連発していた。

いちばん使いやすい言葉かもしれない。

奄美の人と話す機会があったら、同意や相づちの「そうですね」を置き換えて「ちゃ」と言ってみてほしい。

それが泥染のように、どっぷり奄美に染まるきっかけになるといいなぁ。




百目(ひゃくめ)著者紹介

1977年奄美大島生まれ。高校卒業と同時に妖怪を探しに上京し、マンガ&イラストを描きながら出版社に勤務。2014年にLINE、クリエイターズスタンプ「奄美んちゅ」を配信。現在、「奄美んちゅ2」を作製中。『ひとり暮らしをとことん楽しむ!』(主婦と生活社)にて四コマ漫画「ねこな日々」連載中。

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奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介

あまみんちゅあまみんちゅ[no.36]
杉山 きららさん(イズムリカフェオーナー・奄美市笠利町)

昔から島暮らしに憧れを抱いていたが、「夢のまた夢」とあきらめていた。しかし今、奄美大島でカフェのオーナーに。憧れが現実になり、夢もかなった。「奄美での暮らしはお金で買うことのできないぜいたく。一日一日に満足感があります」と話す。

滋賀県生まれの東京育ち。趣味はサーフィンで「波に乗りたくて千葉の大学に進んだ」と笑う。料理好きで、将来の夢は「海辺のカフェオーナー」。カフェやイタリアン、ビストロ、ラーメン店などで店長や料理長などを経験し経営も学び、千葉の海沿いで開業しようと物件を探していた。

そんな中、2011年3月11日に東日本大震災が発生、福島原発事故が起きた。長男もまだ小さく、不安がよぎった。幸い仕事を辞めていたので、すぐさま新天地を求め九州へ。テント暮らしをしながら開業地を探していたときに、「奄美は天国だったよ」と友人から聞いた。

青い海に青い空。すぐに気に入った。4日目、島のガイドが「奄美一きれいな海岸」と称える崎原ビーチの近くで、夢に描いていた光景と出会う。目の前に広がる穏やかな海、背後に生い茂る原生林。そこにあったボロボロの空き家の所有者に連絡を取り、その日から住み始めた。

2011年11月、念願のカフェをオープンさせた。店名は奄美あまみんちゅサブの方言で「泉が湧く」との意味を持つ「イズムリ」。奄美産の食材をふんだんに使った安心・安全、健康的なハンバーガーなどが目玉商品だ。冬場は休業してリフォームを繰り返す。「毎年進化中です」と笑う。

奄美の魅力を「出会った温かい人たちと過ごすかけがえのない時間」と語る。もちろん環境も大のお気に入りで、暑ければスノーケリングで海中散歩、食事は屋外、週の半分は隣近所や友人らと夕食をともにする。「奄美を大切にしていきたい」。今では立派なあまみんちゅだ。

あまみんちゅメイン

DATA

「イズムリバーガー」

  • 手作りにこだわったボリュームたっぷりのハンバーガーで、イズムリカフェの目玉商品。コンセプトは「体に優しいジャンクフード」。パティは黒豚の原種ともいわれている奄美の島豚を使用。部位ごとの旨みが出るように切る大きさを変えて調合、地元の海水から取れた天然塩などを練りこみ、数日間熟成させる。オーガニック小麦粉と天然酵母で焼いたバンズもお店で手作り。島豚100%の味・香り・食感が堪能できる。乳製品や添加物などを使用しないマクロビスイーツもオススメ。

    [店舗情報] イズムリカフェ
    <住所> 鹿児島県奄美市笠利町喜瀬3146‐1(鯨浜)
    <電話> 0997‐63‐2780
    <営業時間> 午前10時半~夕暮れ
    <定休日> 水曜日
    <ブログ> http://ismre.amamin.jp/
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