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もし人類が滅亡するなら、その時は奄美にいたい

author: 小海 もも子(更新日:2016年09月08日)

奄美は雨が多く、よく虹が出る。祝福されている感じがして嬉しい。

奄美は雨が多く、よく虹が出る。祝福されている感じがして嬉しい。

環境問題から見る奄美

放射能汚染、人口爆発、世界戦争、地球温暖化……。WWFによると、1970年代からすでに人間の自然資源の消費が地球の持つ生産力を超える「地球の使いすぎ=オーバーシュート」が始まり、現在は消費が1年で地球1.5個分を超えているのだそう。環境破壊により、そんなに遠くない未来に人類文明が崩壊するという説もある。みんな聞いたことがあっても、どこか他人事になってしまう、この「人類滅亡感」。実感がなく、見えない恐怖や、知らないところで悪いことが起きている気持ち悪さがあるが、それは私が数年住んでいた東京という大量消費社会の中にいると誤魔化され、忙しさの中で忘れていく。

2016年、加計呂麻島の知り合いが営む民宿のお手伝いに軽い気持ちで訪れた。その環境の素晴らしさに、結局8ヶ月も滞在してしまった。島を離れた後も、心は常に奄美にあった。奄美に住もうと決めたのは、環境破壊されていないところに行きたかったのと、できる限り持続可能な生活をしたかったのと、もし数年先に人類が滅亡するなら美しい場所に身を置きたかったという気持ちからだ。

(左)満月(右)夕陽

(左)奄美では月の存在感がすごい。満月の日は外がとても明るい。(右)人類が滅びても、ここだけは変わらずあると信じれそうな夕陽。

島という経済単位はとてもシンプルで、少し前の世代まで自給自足をしていたために、まだ様々な生活の知恵が残っている。島という隔離された状況なので、ある物を大切に使う。人は素朴で優しく、ご先祖様の霊と神様と自然と共生しているように見える。朝はアカショウビンのキョロロロロ?という声で目が覚める。夜は静かで、見上げると天の川が瞬く。安住の地を得たような気がした。



外からはただの森に見えても、一歩踏み入れると畑が広がっている。

外からはただの森に見えても、一歩踏み入れると畑が広がっている。

奄美はオーガニックが盛ん? 農業事情

小学校の授業で行われた田植え。大和村ではもうこの一枚しか残っていない。

小学校の授業で行われた田植え。大和村ではもうこの一枚しか残っていない。

大和村に住み始めて4ヶ月がたった。相変わらず「良いところだな?」と思いながら生活をしている。

最近、東京の知り合いから「奄美はオーガニックが盛んだよね?」って聞かれた。市町村で堆肥を作っていたり、有機農法や自然農法をしている人がいたりするが、やっぱり農薬や化学肥料を使う慣行農法が多い。植物の勢いもすごいので、駐車場や空き地などにはハブを恐れて除草剤が撒かれることもある。除草剤の種類によっては人体へ悪い影響を及ぼすものがあるが、高年齢化する集落においてはやむをえない状況があるのだろう。

他の地域と違うのは、農地の規模が小さく、自家消費が多いこと。大和村でよく見る畑は、台風対策の防風林や塀に囲まれ、ひとつひとつがまるで部屋のようで、農家さんは部屋から部屋へ移って作業をする。簡単に見渡せる敷地には、整然と農作物が並び、丁寧に草取りがしてある。


奄美にいると自然に生かされていることを強く感じる。

奄美にいると自然に生かされていることを強く感じる。

基本的に家族や近所の人のために作るので、大切に作ってある。無人販売所には、一袋100円の新鮮な野菜が並ぶ。しかも、一人暮らしには食べきれないほどの量だ。仕事の帰り道に、近所の畑で収穫したばかりの野菜を抱えきれないほどもらうこともある。人の手で取られたばかりの、新鮮な野菜を食べられるなんて幸せだ。しかも島豚を始め、鶏やヤギなど出所が明確な肉が手に入り、イノシシの猟も盛んでバーベキューにもよく登場する。

今後の課題としては水稲をあげたい。奄美大島では昭和44年ごろから行われた減反政策のために、水田をほとんど見ることができない。豊かな水があるし、こんな離島で主食を作らないのはやっぱり不安がある。最近、Iターンなどの若い人たちが、小さいながら田んぼを開いている。今後、さらにそれが広がっていくといいなと思う。もちろん私も数年中に作ってみようと思っている。



目に眩しい山と海、そして少しだけある平地に人が住む。

目に眩しい山と海、そして少しだけある平地に人が住む。

守りたい、清らかな山と海

奄美大島は、ほぼ緑色だ。海から島を眺めると、コバルトブルーの海から、にょっきり緑色の山が突き出ているイメージ。山は、モコモコとした広葉樹が鬱蒼と茂り、その中には人工物がほとんどない。平地が少ないため、山からのミネラルが海にダイレクトに注ぎ込んでいる。シュノーケルで海に入ると、透明度の高い海水の中、カラフルな魚たちが泳ぎ、珊瑚が点在し、まるで竜宮城のようだ。

そんな美しい海でも、年配の人はだいぶ魚が減ったという。世界の海洋生物は乱獲や環境の変化によって個体数がこの40年で半減したという報告もある。
http://www.cnn.co.jp/fringe/35070787.html
奄美は砂の採取や護岸工事による魚の産卵場所の減少、漁業権を持たない人の乱獲などが原因と聞いた。土砂の流入や生活廃水による珊瑚の減少も見られる。こんな美しく見える浜であっても、たくさん人が住む集落の浜は、わかりやすく珊瑚が少ない。(http://www.jcrs.jp/wp/?page_id=622#q14

一見すると、奄美には環境破壊がないように見える。実際他の地域に比べたら少ない方だと思う。しかし、「まだ大丈夫」とは言っていられない。私は奄美の自然を守るために、海を汚さない洗剤を使う、小さな魚は獲らない、獲り過ぎない、珊瑚礁を壊さないように泳ぐなど小さなことから始めている。

また、浜によってはゴミが打ち上げられている。日本のものから外国のものまで様々だが、例えばプラスチックが及ぼす海洋生物への影響と、それを食料とする人体への影響を考えると、軽視はできない。
http://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/feature/CO003934/20140301-OYT8T00479.html

シュノーケル・派手な模様の魚

(左)海の中にはいろんな生物がいる。シュノーケルでも十分楽しめる。(右)南国らしい派手な模様の魚が多い。しかも美味しい。

私は、海を愛する者の一人として、今後ゴミを拾うことも生活の一部にしていきたいと思っている。もちろん仲間募集中だ。

課題があるとは言っても、やっぱり奄美は美しい。南の島の楽園、神様に祝福された島、自然のアート作品など、褒め言葉は数かぎりない。

毎日、山を眺め、海を眺め、目に美しいものを溢れさせている。人類は滅亡するかもしれないけど、奄美にいれば世界は美しいと思ったまま死ねるような気がするのだ。






小海 もも子(こかい・ももこ)著者紹介

新潟県十日町市生まれ。地方紙記者、農業、バックパッカーなどを経て、出版社に勤務。旅行雑誌や旅ガイドシリーズの編集に携わる。同時に、野外フェスや、NPO法人で海外教育支援、震災復興支援を行う。2016年4月から奄美大島に移住。大和村地域おこし協力隊に就任。

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奄美が大好き!なわたしが、旬の奄美をご紹介

あまみんちゅあまみんちゅ[no.52]
山田 拓郎さん(山田珈琲)

奄美空港の近くで3年前にコーヒー店を開いた。大阪府出身。高校卒業後、大阪の17年間勤めた会社を辞めて4年前奄美に移住した。

奄美は父の生まれ故郷。子どものころから、何度も訪れており、サーフィンを始めた20歳ごろからも、機会があるごとに通っていた。そのころから「海からあがったあとにおいしいコーヒーを飲めるお店があればいいなあ」と思っていたという。

移住を決めたのは、「いつかは海が近くにある環境で暮らしたい」と思っていたからだ。会社を辞めることや、生まれ育った大阪を離れることに「勇気はいりました」と言う。友人らもその決断に驚いていたが、「山田らしいな」と応援してくれた。

念願かなってオープンしたコーヒー店。世界各地から仕入れた生豆を毎日店内で焙煎する。店の人気ナンバーワンは、オリジナルブレンドの「あまみブレンド」だ。苦みや酸味、コクのバランスがとれた本格的な味を求め、地元の人らが足繁く通い、評判を聞きつけた観光客もやってくる。 おみやげとしても好評なドリップパックのパッケージのアマミノクロウサギの柄は、ひとつずつ消しゴムハンコを押して手作り感いっぱいに仕上げ「奄美への愛着」を示す。

奄美に移住してよかったと思っている。店を訪れてくれる人たちとの出会いが財産だ。大好きな場所もできた。特に大浜海岸からのサンセットを気に入っている。「さえぎるものがなく、目の前にドーンと広がり沈んでいく夕日は何度見ても感動的」。

あまみんちゅメイン

DATA

山田珈琲 Amami Island

  •  厳しい審査を通過し、「スペシャルティコーヒー」として認められた豆を自家焙煎している。一杯一杯丁寧にドリップしている。コーヒーの味わいを引き立ててくれる、マフィンやクッキー、日替わりケーキなども充実している。テークアウトも可能。インターネットで通信販売もしている。
  • [住所]〒894-0503
    奄美市笠利町和野285-4
  • [電話]090(2590)0900
  • [営業時間]午前11時~午後6時(ラストオーダー午後5時半)定休日 火・水
  • http://amamiycoffee.theshop.jp/
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