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2004/11/20 本紙掲載

マムシはなぜ自分の毒で死なないの?


岩岡小1年(中種子町) 森山 由稔(もりやま・よしとし)くん

 おじいちゃんとたんぼにいったとき、マムシをみつけたりします。マムシは模様(もよう)がきれいだけど、毒(どく)があってかまれるのはいやです。マムシはどうして、じぶんが毒をもっているのに死(し)なないのかふしぎにおもいました。

お答えします 中本 英一(なかもと・えいいち)さん
奄美観光ハブセンター所長

−血液中に毒を消す成分−

 毒蛇(どくじゃ)を食べてしまうヘビがいるのを知っていますか。有名(ゆうめい)なのが中南米(ちゅうなんべい)にいるムスラナ。北アメリカのキングスネークも、ガラガラヘビを食べることで知られています。こういうヘビにとって、いちばんの問題(もんだい)は反撃(はんげき)されてかまれてしまうことです。
 人がマムシやハブなどの毒蛇にかまれたときは、血清(けっせい)を静脈(じょうみゃく)に注射(ちゅうしゃ)して血液(けつえき)の中に入れ、毒のききめを消します。静脈に入れれば、いったん心臓(しんぞう)にはこばれて全身をめぐり、入ってくる毒に先回りしてくれるのです。
 毒蛇を食べるヘビも同じで、血液の中に、毒にはたらいて効果をなくしてしまう成分(せいぶん)があれば、どこにかみつかれて毒が入ってきても、すぐ相手できますね。1992年にアメリカでおこなわれた実験(じっけん)で、キングスネークの血液には生まれつき、ガラガラヘビとマムシの毒のききめをなくす成分がふくまれていることがわかっています。
 マムシのような毒蛇にとって、敵(てき)とたたかうときなどに毒は必要なものですが、何しろ、きばも体も長いので、まちがって自分をかんでしまったらたいへんです。でも、キングスネークのような、毒の効果をなくす成分が血液の中にあれば便利(べんり)ですね。調(しら)べてみると、たしかにマムシもそういう成分をもっています。
 いま、大阪薬科(おおさかやっか)大学を中心に、マムシの毒にはたらくマムシの血液成分を研究(けんきゅう)しています。この成分は、いつも血液中にある程度の量があるのですが、マムシの毒を注射してやるときゅうに増(ふ)えること、とくに肝臓(かんぞう)でつくられる量が増えることがわかっています。同じように、ハブの血液にもハブ毒に対してはたらく成分があり、これを人がハブにかまれたときの治療(ちりょう)に利用(りよう)できないか、熊本県の崇城(そうじょう)大学を中心に検討(けんとう)されています。
 さてここでおもしろいのは、日本のシマヘビやアオダイショウの場合です。大阪薬科大学では、抵抗力は少し弱いのですが、シマヘビにも似たような成分があることを見つけました。実はシマヘビも、たまにマムシを食べているのです。それならマムシの毒に対抗する成分を持っていてもおかしくありませんね。しかし驚(おどろ)いたことに、マムシを食べたという記録(きろく)がなく、観察(かんさつ)でもおそらくマムシを食べることはないだろうと考えられるアオダイショウの血液にも、同じような成分があったのです。シマヘビとアオダイショウは体のつくりがよく似ていて、同じ先祖(せんぞ)から分かれたと考えられていますが、その時代にすでに、このような成分を持っていたのではないかと考えられます。
 では、どのヘビでもこういう成分を持っているのかというと、そうではありません。アメリカのパインスネークやガータースネークには抵抗力がほとんどありません。逆(ぎゃく)に、東南アジアの大蛇(だいじゃ)でアメニシキヘビというヘビがいますが、これには、同じ東南アジアにすむマライマムシの毒のききめをなくす成分が見つかっています。
 毒蛇の毒に対する抵抗力は、いろいろな形で発達(はったつ)してきたことがわかります。これから新しくどんなことがわかってくるか、楽しみですね。



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