| お答えします |
藤野 良昭(ふじの・よしあき)さん
気象予報士(きしょうよほうし)・気象かごしま社長 |
−各社で独自にデータ分析−
同じ時刻の放映なのに違う天気予報になるのはなぜか。まず1つめの理由は、予報している会社がそれぞれ違うからなんだ。
実は10年前まで、天気予報はどのチャンネルを見ても同じだった。天気予報を出すのは国の機関(きかん)である気象庁(気象台)だけと決められていて、どの局も気象台の発表する予報を放映していたからね。
でも1995年に制度が変わって、それ以外の民間の会社も一般市民向けに天気予報を出していいことになった。もちろん、だれでも発表していいわけじゃない。「気象予報士」の資格(しかく)を持った人がいる、許可を受けた会社だけが天気予報を発表できる。テレビやラジオで解説する人は天気予報を作る専門の会社から派遣(はけん)された人が多く、その会社の予報を言っているんだよ。
では、なぜ予測する人によって天気予報が違ってくるのかを説明しよう。そのためにはまず、どうやって天気を予報するかを少し話さないといけないね。
天気予報をするには、いろんな場所の気圧や気温、湿度の変化、風向き、どのへんに雨雲があるかなど、まず今の状況=実況(じっきょう)=を知っておかなければならない。これが予報する上での基本だ。
気象庁は国内ではアメダスや雨雲を写し出すレーダー、気象衛星画像(えいせいがぞう)を使い、1時間ごとや10分ごとの実況を観測している。そのほか毎日午前9時と午後9時の全世界の観測値も集めて、瞬時(しゅんじ)に編集する。これらのデータをスーパーコンピューターで分析して立体的な予測ガイダンスを作り、気象業務支援センターというところから配信しているんだ。それぞれの会社ではそのデータを使って、予報することになる。
同じデータを使えば、気象台でも民間の天気予報会社でも大体同じ予報になるはずだよね。それが違ってくる原因の1つは、天気が変わる速さをどう予測するかの違いだ。
たとえば、鹿児島県の近くに雨雲があったとしてみよう。ある予報士は、この雨雲が夕方くらいには鹿児島上空に来ると予測して「夕方から雨」という予報を出す。けれど別の会社の予報士は、高気圧の勢力が強いから天気の崩れがもう少しゆっくりだと考えて「雨になるのはもう少し先。夕方までは晴れで、夜中から明日朝にかけて雨」という予報を出す。時には雨が降らずじまいということもあるから、そんなときは「予報があたらなかった」という印象を持ってしまったりする。
それから、気象庁からもらったデータも完全ではなく、その土地の地形や風向きなど地域の特性をどの程度考えるかでも、会社によって予報の内容が少しずつ変わってくる。予報する人の経験(けいけん)や感覚の差もある。
漁師(りょうし)さんやお年寄りでも、長年の経験やカンで明日の天気をずばりと言い当てる人がいる。鹿児島では昔からよく「北東風(きたごち)ゃ雨(北東風が吹いたら雨が降る)」と言うけれど、これはほとんど当たる。その土地に長く住んでいる人の経験から生まれた知恵と言っていいだろうね。
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